いつか、私は。
□Chapter 9-18
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静寂となった場に、ゆらりと陽炎のような影が浮かぶ。
薄いオーロラのような気体が、イグニスの身体全体から流れ出てくる。
それだけでなく――手と左目からは紫色の炎が揺らめいていた。
イグニスの目元は元の肌の色を失い、広範囲で惨く焼け爛れている。
刹那、イグニスの身から光が走った。
光は後方へ――そしてそれと共にイグニス自身も後方へ瞬間移動する。
それはまるで――ノクトの“シフト”だ。
イグニスが左手を握りしめる。そこにあることを確認しているかのように。
また、イグニスの両目は炎と同じ明るい紫色をしていた。
「へえ――」
アーデンは興味深そうに笑い、途端に間合いを詰める。
アーデンも同じく――シフトだ。
「それ使えるの?」
禍々しい黒煙のようなオーラ。それをイグニスは寸前のところで避ける
「王様を助けたかったら、俺を倒してからどうぞ」
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