いつか、私は。

□Chapter 9-16
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――――やっと、ここまで来た。









「――ノクト!」




「ルナフレーナ!」






俺とレイヴスは、祭壇を目前にした焦燥感に、いつの間にか走り出していた。




俺よりも先に行くレイヴス。





追うように走っていると、壊れた柱の裏から一つの――いや、“一匹”の白い影が現れた。







……犬だ、それも――。









「ルナフレーナ様の――」







アンブラの対……プライナだ。







彼は、痛々しくも力なく倒れ込んでいる。





俺が膝を付いて様子をうかがったその時だ。












「なっ――――」










プライナは、淡く光りだした。その光は祭壇から伸びる光柱に似た輝きと眩しさである。




俺は堪らず目を閉じた。




























































それは、妙なビジョンだった。








『歴代の王の“剣”と聖石の“魔法”。六神をも超越した力で、すべてを浄化する』





妙な既視感のある場所に、一人の男がそこの玉座に座っている。



剣を地に、周りには陽炎のような、巨人。







『お前が玉座で命を捧ぐほか、この力を解放する術はない』







巨人が順に、男へと切りつける。まるで何かを刻み込むように、与えるように。


そのたびに男は――剣を持つその手は、零れ落ちるように滑っていく。






『お前の命と引き換えに力を解き放てば、全てが終わる』






男はその身から、巨人に切りつけられていた剣を放出する。







『偽りの王は闇と共に滅ぶ。世界には夜明けがもたらされよう』







剣と共に、斬りつけていた巨人が。

巨人が最後に斬ったのは――あの、アーデン・イズニアのような風貌の何か。







『人として生きる喜びを捨て、王の使命を全うするのだ』






男は、星空に――虚空に消えた。



最初から何もなかったかのように、あっさりとしたものだった。






『さあ、力を求めよ――真の王の力を――』





その男は――――。



























































「っ!」



目の前がクリアになっていく。



一面に広がる海、所々崩れているあの祭壇。





違いはただ一つ――プライナが、そこにいなかった。





「今の光景は、なんだったんだ?」





ひとつ呟く。だがすぐに、俺は立ち上がった。



レイヴスはすでに二人の元にいるのだろうか、今すぐに行かなければ。
















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