いつか、私は。

□Chapter 9-15
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辺りに広がる、帝国兵の残骸ども。





レイヴスはそれを見て表情を変えず、ふいと歩き始めた。






「少しはできるようだな。覚悟があるならついてこい」








「……」








言われるまま、俺はレイヴスの後を着いて行った。




慣れているのか、迷わない足取りでヤツは走る。




時には扉を蹴破り、人が通れてやっとというような道をくぐり……。




どこまで行くんだ、というところで、少し聞いたことのある音を聞いた。





「魔導エンジンの音」


「ああ」





倒して進まなければ……と近づこうとした瞬間、レイヴスが止めた。





「やめておけ。後退命令を出している。時間の無駄だ」





階段の柵の陰にしゃがむ。



……この際だ、聞いておきたいことを全て聞いておこう。








「おまえは、なぜ帝国を敵に回す?」


「妹を助けるのに、理由がいるのか?」


「……」


「私とルナフレーナは、一族の使命を果たすために、別々の道を歩んだ。ただそれだけだ」





……最初から帝国に、絶対の忠誠はなかった、という解釈で合っているのだろうか。



だが、ルナフレーナ様のためとなると、この裏切りは自然だ。









それに……と、ふと左腕を見る。レイヴスは顔をしかめた。



「なんだ」


「以前は、義手ではなかったはずだが」


「かつて私は、頼りない王に代わり、この手で闇を払うと考えた。これはその報いだ」





…………なるほど。




と、なれば、聞けることはあと一つ。





「……ノクトに力を貸してく――」


「勘違いするなよ」




俺の言葉を遮るように、レイヴスは語調を強める。俺も口をつぐんだ。


鋭い、鷹のような目で俺を見る。




「おまえと道を共にしているのは、利害が一致しているからだ」




……あくまで、ノクトを認めるつもりではない、と































話しているうちに、目の前の魔導アーマーが揚陸艇に回収された。



撤退命令を出したのは、こいつだ。そんな会話をカリゴとしていたのを見ていたからな。







最初から、裏切る算段を着々と立てていたというわけだ。







「帝国の狙いは光耀の指輪にある。指輪が渡れば、二人の命が危ない。急ぐぞ」



「わかっている」











姿勢を低く、残りの魔導アーマーへ。








ここからの修羅場を、覚悟しながら。








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