いつか、私は。
□Chapter 9-15
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レイヴスがじりじりと近寄ってくる。
右手に持つ細剣が鈍く光っている。自分の頬に汗が流れるのを感じた。
そして――レイヴスが近づいてくるのと同じく、帝国兵が数体現れた。
一斉に取り囲まれる。
――さすがに、この状態でこの帝国兵とレイヴスを相手にするのは分が悪すぎる――。
どうしたものか……と思った瞬間、背後の帝国兵が勢いをつけて寄ってくるのを感じ、振り返る。
そして同時に――レイヴスも剣を振り上げた。
眼前のレイヴスに、武器を構える。
「な――――!?」
レイヴスの剣は――俺の後ろの帝国兵に突き刺さった。
そのままレイヴスは俺に背を向ける。
「無駄に争うつもりはない」
レイヴスはぐるりと周辺を見渡す。まだ帝国兵は多い。
「手を貸せ。神凪と王の救出ルートを確保する」
帝国への、明らかな離別。そして反乱。
俺は驚きを隠せなかった。
「選択の余地があるのか?」
「……危険な賭けだが」
右手のダガーを、帝国兵の一体に投げる。頭部に命中。その兵は崩れ落ちた。
それは――。
「理解したようだな」
俺は、レイヴスとの共闘を開始した。
「手早く済ませよう」
「言われるまでもない」
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