いつか、私は。
□Chapter 9-11
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「……はぁっ……はぁっ……はぁっ……!」
両膝に手を当てて少し呼吸を落ち着ける。座り込みそうになるけれど、なんとか堪えた。
周囲には帝国兵の残骸だらけ。かなり気持ちの悪い光景になっていた。
……思えばたった一人だけでこんなに戦ったの初めてかもしれない。いつも誰かがいたから――。
「……イグニス……」
通信で会話はできる。できるけど、声でしか情報が通らない。
……うう、あんなに大見得切ったのに、心配だなあ……。
「……あ、そうだ」
通信機に指を持っていく。ピッと軽快な電子音が鳴った。
とにかく、報告をしなくては。
「アクアです。イグニスと別れて行動中。帝国兵を何体か倒しました。グラディオさんとプロンプトくんの方へ加勢し、陽動します」
「――アクア今どこだ」
「二人と別れた橋から南へ100mほど……」
「そんなに遠くねえな。元いた方面に走ってこい。――帝国兵が集ってやがるから、わかんだろっ」
呼吸や周囲のノイズから、戦闘中のようだ。
私は急いで走り出した。
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