いつか、私は。
□Chapter 9-10
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ある日、ぼくは、レギス陛下に呼ばれて、王の間にいた。
「王とは――絶対に立ち止まってはならないものだ」
陛下が話す。ぼくは黙ってそれを聞く。
「どれほどの犠牲が出ようとも、前に進み続けなければならない」
王としての責任。
それはきっと、とてもつらいもの。
「しかし――」
レギス陛下は少し屈んでぼくと目線を合わせた。
「王といえども、迷い悩むこともあるだろう」
優しい目は、しっかりぼくの視線と交じり合う。
「その時は、傍でノクティスを支えてほしい。友として――兄として」
陛下の手招きで、後ろのノクティス王子がトコトコとこちらへ歩いてきた。
戸惑いながら恥ずかしがりながら、ノクティス王子はぼくの前に立つ。
少し小さい肩は、緊張で強張っていた。
「どうか、ノクティスを頼む」
レギス陛下がノクティス王子の背を押す。
さらに戸惑うノクティス王子の前に、ぼくは右手を差し出した。
「!」
にこり、と笑って、ノクティス王子は両方の手でぼくの手を取る。
友として、兄として、この小さな王子を支えるんだ。
どうか――
俺を許してほしい。
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