いつか、私は。

□Chapter 9-8
1ページ/2ページ








ルナフレーナ様の演説が終わり、帝国軍がやってきたことを皮切りに、俺たち4人は移動を開始。









アコルドの首相から言われた、市民の避難誘導を始める。







「急げ!でも慌てんな!」


「こっちです!」





全員、懸命に声を張る。




なるべく儀式が始まる前に――水神が起きる前に、一定数は避難させておきたいが――。









「水神はまだ起きてない感じ?」





「ああ。水神リヴァイアサンはかなりの巨体と聞く。起きればそれなりの反応が――」










そのときだ。





地面が急激に揺れ始め、オルティシエの水が渦を巻き始めた。









「うわああ!」


「わわっ!」


「アクア、大丈夫か」


「どうやらこれがその反応みてえだな、おい」









少し霧のようなものがかかっていて見えにくいが、微かに竜のようなものが見える。




かなりのサイズだ。






「あれが、水神様――」


「でっかー……」


「うし、ほんじゃ手分けして残りの避難誘導急ぐぞ」


「ああ、わかっている」





耳元の通信機を起動。




これで全員と話が繋がる。ノクトに関しては端末への着信となるが。








「ノクト、水神が目覚めた」


「避難は?」


「順調だ。終わったらそっち行くぜ」


「帝国軍が水神を取り囲んでいる。急げ」


「今向かってる!」


「儀式はもう始まってるってことか?」


「多分な」


「ということは、ルナフレーナ様も水神様の近くに――!」


「ああ。助けねえと」


「それに水神も守ってやらなきゃね」








ノクトとの通信が切れる。しばらくノクトはあちらに集中するだろう。




水神の方へ目をやると、かかっていた霧が晴れ、ここからでも姿かたちがはっきりわかるようになっていた。




「――」






長い胴体、無数のヒレ。そして水に反射するそれらの体は神々しさを纏っている。








「すごい……」






アクアが呟いたのが聞こえた。









「――急ぐぞ。かなり避難はさせたが、まだ残っている人がいるかもしれない」





「う、うん!」








俺たち四人、与えられたことは必ず成し遂げる。







.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ