いつか、私は。

□Chapter 9-2
1ページ/3ページ






水都、オルティシエ。






水都という枕詞にふさわしく、辺りを見渡す限り水路や滝などに水が流れていた。



建物も時代を感じさせる、ルシスとはまるで違う文化を示している。


















「そこの船!通行証は!」










いざ門をくぐらん、というところでオルティシエの兵が我々に言う。






そして通行証の確認のため船へと上がった。














「え……通行証?」





「慌てんな、ちゃんとある」








プロンプトが不安そうに言うが、シドは冷静に懐から一枚の紙を取り出した。








「ほれ」


「随分と古いな……。まあいい、行ってよし」







オルティシエ兵は船から降り、入国の許可を出した。





そしてシドはそれを見て平然と船を進める。




「あらかじめ準備を?」



「してねえよ、30年前のだ」



「古いってのはそういうことか」



「まさか通るとはな」



「えっ」



「そんなもんなのかよ」






……通れたのが奇跡のようなものだな。







.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ