いつか、私は。
□Chapter 8-1
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アクアが、可愛い。いつもだが。
先ほどの遺跡から脱出した後に、嫉妬していたアクアがいつも以上に可愛い。
どこまで俺の理性を搔き乱せば気が済むんだ、アクアは。
それに、アクアは知らないのだろう。俺がいつもお前に対して抱いている感情の大きさを。
きっとこの欲を全て解放してしまえば、歯止めが効かなくなってしまう。
いつでもアクアは目の届くところにいてほしい。
いつでもアクアを抱きしめていたい。
いつでもアクアと心も身体もつながっていたい。
アクアを、俺だけのものにしたい。
そんな――決して綺麗とは言えない感情を、俺は常に持っているというのに。
「……はあ」
ダメだ、一旦落ち着こう。
アクアのことになると昂ってしまって抑えられなくなる。
「イグニス」
アクアが歩いてきた。鈴のような綺麗な声で、俺の名前を呼ぶ。
そして彼女はいつもと変わらず――いや、いつもより少し嬉しそうに笑って言う。
「アラネアさんがもうすぐ着くって。行こ?」
「ああ、わかった」
――好きだ。
好きで好きで堪らない。
微笑むその顔も、その差し出された手も、全てが愛しい。
――俺のものだ。
「?イグニス?」
「ん?ああ、すまない」
手を握って立ち上がる。
アクアは、どう思うのだろうか。
俺のこの歪んだ気持ち全てを目の当たりにしたら。
笑って――受け入れてくれるのだろうか。
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