いつか、私は。

□Chapter 7-1
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「現れた〜」


「う、噂をすればって感じだね……」


「帝国軍がいるから、一緒に行こう」


「何?」


「大丈夫、話通してあげるから」







はい出発、と宰相が笑って進む。




付いて行くノクトに続いて俺たちも歩いた。





「俺からあんまり離れない方がいいよ。帝国兵と無駄に戦いたくないでしょ。今四人しかいないみたいだしさ」



「…………」



「あれ、静かだね」


「話すことは特にない」


「そうだ、この先は古代遺跡だけど、君たちの目的はミスリル?」


「話す前にわかっちゃってるし」


「いやさ、ミスリルは貴重な鉱石でしょ?だから封鎖もしてたし帝国軍がいるわけ」


「で?それ分けてくれんのかよ」


「えぇ?分けないよ」


「そういうとこケチだし」


「ハハ、自分で採掘するならいいんじゃないかと思ってさ」


「そ、そういうものなんですか……」


「そうそう、そういうものなんだよ」




進んで行くと、ヤツは立ち止まって憎たらしく笑みながら俺たちの方へ振り向いた。





「ちょっとそこで待ってて」



そう言い残してヤツは入り口の前にいる女性に話しかけた。





「何するつもりなんだろ」


「わかんね」




ひとしきり話した後、ヤツはこちらに向かってまた言う。




「いいってさ、どうぞ」







恐る恐る近づく。


入り口の女性がノクトに話しかけた。




「君たちが『入隊希望者』で『訓練』を受けに来た子たちだって?ルシスの王子一行でしょ」





よく見ると以前帝国軍の基地で奇襲を仕掛けてきた女性だ。



女性のその言葉にノクトは黙る。




黙秘。





「まあ、あたしは気ままな傭兵みたいなもんでね。それにあんたたちの『正体も知らない』」




グレーゾーン、ということだろうか。


すると女性はまたおもむろに話し出す。




「もう準備できてんの?」


「へっ?」


「ここで何かやるんだろ?」


「え、ええと……」


「監視ついでに手伝ってやるから。中は手強いのばっかりだよ」





そう言って微笑む女性。


すると黙っていた宰相がまた口を開いた。




「じゃ、仲良くやって。アラネア准将、よろしくね」







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