いつか、私は。

□Chapter 5-1
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「まさかさ、見つかんないとは思わなかったよ」





カーテスの大皿から帝国に連れられ脱出した俺たち。



しかし、カーテスの大皿の傍に駐車しておいたレガリアが忽然と姿を消していた。



現在はチョコボポスト・ウイズに来ている。移動手段としてチョコボはありがたい。






「シドニーが言うように、周辺の工場に運ばれていればいいが」



「まあ持ってったのが帝国軍って可能性もあるな」



「それだと最悪ですね……」






アクアの言う通りだ。



一番の移動手段を帝国軍に取られるのは痛い。


それにあれはレギス国王陛下の愛車。奪われでもしたら……。







「またあのおじさんが助けてくれたりしないかな」


「アーデン宰相か?」


「やめてくれ期待できるはずがない」




むしろ一番警戒しなくてはならない存在だ。




「だよねえ、どうする?」


「ひとまず、ハンマーヘッドからの連絡待ちだ」


「代車もねえし、しばらく歩きか」


「早く見つかるといいんだけど……」





こればかりはハンマーヘッドに頼るしかない。


さてこれからどうしようか。









「あれ、アンブラだ」








プロンプトの視線の先にはアンブラ。





近づくと、俺たちを導くように走り出した。



「黒い――犬?」



アクアが不思議そうに首を傾げる。




「アクアは初対面だったな」


「彼はアンブラ。ノクトとルナフレーナ様をつなぐ重要な伝達役だ」


「いっつも神出鬼没なんですけどねー」


「へえ……アンブラさんかぁ」


「何かを伝えに来たのか?」





俺たちはアンブラを追いかけた。



アンブラの導きでしばらく進むと、ノクトが止まる。



先にいたのは――。





「――ゲンティアナ」




六神の使い、ゲンティアナ様。



目を閉じたまま、彼女はノクトに語り掛けた。





「聖石を背負いし王よ。雷神の啓二により、力を宿しなさい。聖石を取り戻すために、神凪は――」


「ルーナは、無事なのか?」






ノクトが堪らず質問を投げかける。




ゲンティアナ様は表情を変えず、再度口を開いた。





「ルナフレーナは誓約を終え、光耀の指輪と共に、水都にて待つ。早くお会いなさい」





ノクトが俯く。再び彼女に目を向けたころには、もう姿はなかった。


俺は状況がわかっていないであろうアクアとプロンプトに説明をする。






「あの方は神の遣い――つまり、神話の神凪を支える存在だ」


「神の、遣い――」


「ほお……?」




いまいちピンと来ていなさそうだ。


まあ、徐々に実感がわくだろう。






「でかい話になってきたな」





全くだ。


ただ、これでルナフレーナ様と指輪が無事であることはわかった。






「指輪がルナフレーナ様の元にあるなら、ひとまずは安心だな」


「ルナフレーナ様もご無事でよかった……」


「お会いできるのはオルティシエ?」


「ああ、船の手配が必要だ。カエムの港がもし今も使えるなら」


「昔の隠れ港か。よし、準備させよう。イリスに連絡しとくぜ」


「さあて、俺たちは」


「雷神にお参り」


「また神様来たよこれ」


「本当、小説の中みたいだなあ……」






天候が一気に悪くなった。



きっと雷神の影響だろう。近くでは雷も鳴っている。




早く啓二を済ませなくては、と一つ目の石碑に向かった。









「ダメだな、ったくどうなってんだ」


「どうしました?」


「イリスか?」


「お前んとこには?」


「なんもきてねーよ」






彼女も色々と忙しいんだろう。俺たちはまずお参りだ。



指定された場所まで行き、見つけた石碑にノクトが触れる。


すると雷のような光がノクトを包み込んだ。どうやら啓二とはこれでいいのだろう。





「うっ――……!」



ノクトが頭を押さえて少し辛そうな顔をした。





「どうしたの? また頭痛?」


「ゲンティアナの声がした」


「声が――?」


「神に通じる能力か」


「巨神の時の頭痛と同じなのかもな」





俺たちは次の石碑を目指した。






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