いつか、私は。

□Chapter 2-6
1ページ/2ページ






帝国から来た敵をすべて打ち倒し、そこから少し進んだところにキカトリーク塹壕跡はあった。




随分と小さな入り口から中を覗くと、とても暗い道が続いている。



いざ入らん、と進もうとすると、最後尾で歩いていたコルさんが立ち止まった。




「王子、同行はここまでだ。このカギを渡そう、他の墓所の扉が開く」



コルさんはノクト王子にカギを投げて渡した。そしてまた言葉を続ける。



「自分たちで動いてみろ。力はいくらあっても困らないからな」




コルさんはこれから帝国の動向を探りに行くらしい。そして最後に力を備えておくようにと言って去って行った。




「じゃあ行くぞ」





ノクト王子の号令でみんなが扉(というか穴)の中に入る。




見た目通り、中は真っ暗で私たちの明かりがなければほとんど見えない。







…………うん、みんないる。大丈夫、大丈夫。






少し進むと、プロンプトくんが声を上げた。指を指す方向を見ると、小さな扉が見えた。



「ここって、えっと、いったい何なんだろう……」


私からついほろっと出た言葉にイグニスが答える。



「誰か住んでいたようだが」


「暮らしてたの?」


「戦火から逃れて――かもしれない」



私とプロンプトくんが「へー」と納得していると道中で何か電源コードのようなものが見えた。


何とつながってるんだろう……。



「天井、崩れそうだ」


「だいぶ放置されてたみたいだね……」


「大丈夫かな……」




大丈夫、多分。


うーん、それにしても道が入り組んでいて頭が痛くなりそう。


曲がっては行き止まりの繰り返してもはやもと来た道も忘れそう。




あっちへこっちへ、と進んでいると、急にぐらぐらと揺れ始めた。



「わ、わっ……」


「アクア」


少しバランスを崩していると、イグニスが腕を掴んでくれた。


「あ、ありがとうイグニス……」


「掴まっていろ」




揺れが収まり、上を見ると少し違和感があった。




「ああ、天井」


「ここで死にたくないな」


「ぶ、物騒なこと言わないでください……」


「すまんすまん」


「長居するのはよそう」





また扉だ。


ノクト王子を先頭に開けてから進むと、すぐに曲がり角。




「なんか、出そう」



プロンプトくんが周囲を見渡しながら言う。



「曲がり角から『うわあ!』とか……」


「ビビりすぎだ」





扉を抜けた後もあっちへ行ったりこっちへ行ったり、時には岩の下をかがんで通ったり。



なんだか、本当にダンジョンっていう感じがするなあ。




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ