いつか、私は。
□Chapter 2-6
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帝国から来た敵をすべて打ち倒し、そこから少し進んだところにキカトリーク塹壕跡はあった。
随分と小さな入り口から中を覗くと、とても暗い道が続いている。
いざ入らん、と進もうとすると、最後尾で歩いていたコルさんが立ち止まった。
「王子、同行はここまでだ。このカギを渡そう、他の墓所の扉が開く」
コルさんはノクト王子にカギを投げて渡した。そしてまた言葉を続ける。
「自分たちで動いてみろ。力はいくらあっても困らないからな」
コルさんはこれから帝国の動向を探りに行くらしい。そして最後に力を備えておくようにと言って去って行った。
「じゃあ行くぞ」
ノクト王子の号令でみんなが扉(というか穴)の中に入る。
見た目通り、中は真っ暗で私たちの明かりがなければほとんど見えない。
…………うん、みんないる。大丈夫、大丈夫。
少し進むと、プロンプトくんが声を上げた。指を指す方向を見ると、小さな扉が見えた。
「ここって、えっと、いったい何なんだろう……」
私からついほろっと出た言葉にイグニスが答える。
「誰か住んでいたようだが」
「暮らしてたの?」
「戦火から逃れて――かもしれない」
私とプロンプトくんが「へー」と納得していると道中で何か電源コードのようなものが見えた。
何とつながってるんだろう……。
「天井、崩れそうだ」
「だいぶ放置されてたみたいだね……」
「大丈夫かな……」
大丈夫、多分。
うーん、それにしても道が入り組んでいて頭が痛くなりそう。
曲がっては行き止まりの繰り返してもはやもと来た道も忘れそう。
あっちへこっちへ、と進んでいると、急にぐらぐらと揺れ始めた。
「わ、わっ……」
「アクア」
少しバランスを崩していると、イグニスが腕を掴んでくれた。
「あ、ありがとうイグニス……」
「掴まっていろ」
揺れが収まり、上を見ると少し違和感があった。
「ああ、天井」
「ここで死にたくないな」
「ぶ、物騒なこと言わないでください……」
「すまんすまん」
「長居するのはよそう」
また扉だ。
ノクト王子を先頭に開けてから進むと、すぐに曲がり角。
「なんか、出そう」
プロンプトくんが周囲を見渡しながら言う。
「曲がり角から『うわあ!』とか……」
「ビビりすぎだ」
扉を抜けた後もあっちへ行ったりこっちへ行ったり、時には岩の下をかがんで通ったり。
なんだか、本当にダンジョンっていう感じがするなあ。
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