いつか、私は。
□Chapter 2-5
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さらに走って進むと、幾分か開けた場所に出た。
「ここでは昔、帝国軍との激しい戦闘があった。廃墟となったのをいいことに、今や帝国軍が好き勝手に出入りしている」
先の方を観察していると、何体もの帝国兵が巡回していた。
全員の顔が強張る。
「……帝国兵」
「大丈夫か、アクア」
特にアクアが一番険しい顔でいた。
――ああ、無理もないな。
「……アクア」
「……大丈夫だよ、イグニス。帝国兵なんかに負けたりしない」
薄く微笑むアクア。その双眸は一点の曇りなく俺を見つめていた。
頼もしくは思う。だが、それ以上に不安を感じさせる。
「わかった。無理はしないでくれ」
「うん、ありがとうね」
ゆっくりと進みながら、プロンプトが話し出した。
「敵だらけだよ、通れんの?」
「突き進むか回り込むか、多くの手を考えろ」
コル将軍が答える。
どうするのか、と思ったが、ノクトはシフトで構わず突っ込んでいった。
俺たちはその後を追う。
「はああ!!」
帝国兵の一体をシフトブレイクで蹴散らし、遠くで周りと応戦するノクト。
俺も自分の武器を構えながら走っていると、隣でアクアが地を蹴った。
大きく飛び上がり、落下の力で右足を帝国兵に突き刺す。
「ふっ!!!」
先ほどよりも少し動きが良い。一体、また一体とアクアの周りには帝国兵の残骸が増えていった。
俺もうかうかしていられないな。
短剣を投げ、帝国兵に突き刺していく。
「百発百中たあ、調子いいじゃねえかイグニス」
「まあな。造作もない」
グラディオが豪快に帝国兵を振り回しながら話しかける。
これくらいできなければな。
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