いつか、私は。
□Chapter 2-3
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朝が来た。
昨日の雨が嘘のように上がり、今日は太陽が眩しいほどに晴れた。
昨日、アクアが俺たちの旅に参加することになったが、果たして大丈夫だろうか。
ともあれまずは王の墓所、俺たちはレガリアに向けて歩いていた。
「あれ、そういえばアクアさんって、えっと……手ぶらなの?」
プロンプトが車に向かう間にアクアに話しかける。
手ぶら、というより戦闘の心配をしていることをアクアは感じ取ったようだ。
「え?ああ、武器ならあるよ」
「え、どこに……」
すると、アクアがするりとズボンの裾を上げた。
中からは肌ではなく、鋼鉄のような素材で作られたブーツ。
「これ」
あっけらかんと言うアクア。家に置いてあったのは見たことがあるが、実を言うと履いている姿は初めて見た。
ね、とアクアは薄く笑んでこちらを上目遣いに見る。
体勢といい表情といい…………何がとは言わないが、くるものがあるな。
「ほう……」
前を歩いていたグラディオがまじまじと見に来る。
俺がわざと大きな咳払いをしつつ睨みつけると、「怖い怖い」と笑いながら少し離れた。
……いい気分はしないからな。
「え、アクアさんってまさか体術で戦うの!?超最前線じゃん!」
「うん、でもこれしかできないから……」
「重くないのか?」
「あ、いえ、なんだか特殊な素材でできてるらしくって、片足1kgくらいって師は言ってました。慣れもあってそんなに気にならないです」
プロンプトとグラディオの問いかけに答えるアクア。
……アクアは照れたように笑うが、笑いごとでもない気がする。
すると、ノクトが振り返ってアクアの方を向く。
「なんで持ってるんだ?」
するとアクアが表情を曇らせ、苦笑して言う。
「……店長……師が、『嫌な予感がするから履いて来い』って言ってて」
嫌な予感ほど当たっちゃうんだよね、と言う。
「……わりい」
「ううん、確かに不自然だもんねえ」
そんなこんなで俺たちは車に乗り込む。
アクアは後部座席、ノクトとグラディオの間だ。
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