いつか、私は。
□Chapter 2-1
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王都の陥落。
改めてその現実を思い知った俺たちは、故郷インソムニアに背を向けて進みだした。
いまだにこれが夢なのではないかという錯覚が起こる。
同時に、アクアの安否も不安しか募らなくなってきていた。
絶対に……いや、もしも……。
「警護隊は、もう機能してねえんだろうな」
グラディオの声ではっとした。今は運転中だ。集中せねばならない。
「ああ、将軍が外に出るというくらいだ」
「中はどうなってんだろ……」
「そのうち報道されるだろう」
「これだけでかい騒動だからな」
「これから俺たち、どうするの?」
「まずはハンマーヘッドだ。他は後で考えようぜ」
後で考えよう。俺もそう思いたいが、やはり気になるものは気になる。
「アクア……」
つい言葉に出していた。どうも気が逸れてしまう。3人に聞こえていなかったのが不幸中の幸いといったところだな。
またしばらく車を走らせていると、グラディオが口を開いた。
「イリスから伝言があった。何人かとレスタレムに向かってる」
「無事なんだ、妹さん」
「ああ、あっちはどうなってるかわかんねえが」
グラディオの妹、イリスは無事だったようだ。
ならば、アクアも……。
「死亡説はありがたい。追手も派手には動けないだろう」
「帰れないけど旅はできる」
「…………そうだな」
そうこうしているうちに、ハンマーヘッドに着いた。
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