いつか、私は。
□Chapter 1-1
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遠くでチュンチュン、という小鳥のさえずりが聞こえる。
「ん……」
カーテンの向こうからまぶしい朝日。そしてなんだか頬にある違和感。私はたまらず目を開けた。
「あさ……」
「起きたか」
目の前にはすでに着替え終わった状態で、ベッドの端に腰掛けるイグニスの姿が。
違和感の正体は頬をつつくイグニスの指だったんだ。
「おはよう…ございます……」
上半身を少し起こし、目をこすりながらイグニスに挨拶をする。
「ああ、おはよう。さっそくだが着替えてくれ。その恰好では風邪をひいてしまう」
イグニスが眼鏡をくいっとしながら言った。
その恰好? 私は掛け布団を少しだけ上げて、自身の体に視線を落とした。
「あ……」
「ほら起きろ。なんだったら着替えでも手伝ってやるが」
「け、結構です」
そうだ、昨日の夜イグニスが来て、プロポーズされて、そのあと…………。
その、あと………!!!!
「……っ………」
だめ、照れちゃう……!
「どうした?」
「う、ううん!な、何でもないよ!」
「そうか。なら早く着替えてくれ。さすがにいつまでも裸のお前を見ていると、我慢ができない」
「着替えます!すぐに!」
だから一回あっち向いてて!とたまらず叫ぶと残念そうに(それはもう残念そうに)了承してくれた。
早く着替えなきゃ……。
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