狂犬の娘

□四章「娘と、壊れる街」
3ページ/6ページ









「……花さん!」








しばらく走った後、花は立ち止まった。





先ほどの場所からはそう遠くはないが、あの男が追ってくる様子はないようだ。




乱れる息を整えながら、震える声で花は言う。








「わ、私、秋山さんを待ちます!」







「っ……大丈夫ですか」





「大丈夫です!社長は……あんなバケモノに負けません!絶対!」







花は真剣な表情で言った。奏は、その様子に小さく頷く。





……秋山さんは、良い秘書さんに恵まれてるなあ。









「わかりました。……あ。秋山さんに会ったら『奏は真島のところにいます』と、言っておいてください」



「はい!……え、真島?」







では、と奏はミレニアムタワーに向けて駆け出した。







.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ