Story

□Restroom
2ページ/2ページ


「あ、あ、は…」

トイレで何でこんな事をしているんだろう。

「んっ、んんっ!」

「勇利っ、考え事…?」

後ろからヴィクトルの声が聞こえる。

欲を含んだ声が、誰も居ないトイレに響く。

下半身だけを露わにし、勇利はヴィクトルに穿たれている。

足元にまとわり着いたジャージに動きを封じられているようだ。

「うっ、あ…!」

さっきまで練習していたリンクで、よもやこんな事をするようになろうとは。

大人、になってしまったのか、分別の無さは子供並か。

勢い良くヴィクトルに穿たれ続け、勇利は口を閉じる事も出来ない。

その口元から、つ、と滴るものをヴィクトルはすくい取り、そのまま指を勇利の口の中に押し込んだ。

「ん、ぅう…」

「勇利…」

柔らかい勇利の耳たぶに、ヴィクトルはキスを落とす。

首筋にきつく吸いつき、所有の痕を残した。

「んっ」

勇利は己の屹立したものに手を伸ばし、慰め始める。

「あ…、はっ」

「勇利」

笑うような咎める様なヴィクトルの声が、勇利の耳に届いた。

「気持ち良い…?」

勇利が慰めているものの先端にヴィクトルは自身の手を当てる。

勇利の腰がびくりと震えた。

「こんなに感じて…」

勇利の手を払い、ヴィクトルはワザと大きく擦りあげ、水音を響かせた。

「んっぁ!あ!ヴィ…!」

「もう女の子抱けないんじゃない…?」

抱かせる気も無いくせに、そんな事を言う。

ヴィクトルの手の動きに合わせて、勇利は自分を穿つヴィクトル自身をきゅうきゅうと締め付けた。

「ヴィク、トル」

勇利は顔を後ろに向けると、そっとその名を呼ぶ。

ヴィクトルは吸い寄せられるように、勇利にキスをしようと顔を寄せた。

「…!」

ヴィクトルは首の後ろを勇利につかまれ、勇利の肩にその首を押し当てさせられた。

キスを逸らされたヴィクトルの耳元に、勇利の唇が触れる。

「ヴィクトルこそ…」

吐息に僅かに色が着いたような声に、ヴィクトルはぞわりと体を震わせた。

「僕じゃなきゃ、満足できないんじゃない…?」

そう言って、勇利はヴィクトルの耳たぶを食んだ。

「そういうの、大好きだよ…」

「んんぁっ!!」

腰骨を押さえ、ヴィクトルは大きく勇利を穿つ。

続けて激しく動かれ、勇利は背を丸めて嬌声を漏らす。

「あ!あ!あ…っ!!」

「っ、は、ゆ、り」

「んんんっ」

ふるふる、と体を震わせて、勇利は己の精を零す。

締め付ける勇利の中に、ヴィクトルもその欲を放った。





「…二度とこういうのはしないから!」

誰も居ない廊下を歩きながらそう怒る勇利とは対照的に、ヴィクトルはニコニコと笑っている。

「だって勇利、これはオシオキだから」

「っ」

「駄目って言ったのに、休日にリンクに来てるってどういうこと?」

「そ、れは…」

今日はヴィクトルは朝から別の仕事で居なかった。

一人で過ごす休日も悪くは無いけれど、勇利はここの所満足のいくスケーティングが出来ていなかった。

リンク自体も休みとなっていたのだが、勇利は昨日のうちにスタッフに無理を言って鍵を借りていた。

確信犯だ。

「ちゃんと休む事も大事だって言ったよね、俺」

「そうだけど…」

「でも、こういうオシオキならまたシタいかな」

「…もうしません。でも、ヴィクトル。どうして僕がここに居るって分かったの」

「一度家に帰ったから」

「?」

「練習の時持って行くカバンがなかったから、そうかなって」

「あ」

「ここじゃなかったら、あちこち電話かけてたかも。勇利が家出したって」

「やめて…」

「さ、帰ろう」

「…はい。あ、その前に、シャワー」

「わかった、待ってる」




なんだかんだで、ラブラブなのでした。



end


次の章へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ