連載のブック

□Dive
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「さーてどんな名前がいいんだ?」
「えっなまえ?」
「コードネームだ」

後日、改めてパレスに侵入しもはや恒例行事となりつつあるコードネーム決めのお時間となった。

「パレスと言えど本名で呼び合うのは現実になんらかの影響がでるかもしれない、そういう危惧を案じてのことだ」
「あぁ、なるほど…」
「ジョーカー、モナ、スカル、パンサーフォックス」
「モナ…えっぬいぐるみ?」
「ぬいぐるみじゃねーよ!!」

新しい反応に微妙に怒りにくいうえよしよしと撫でてくるものだからモナはすぐにふやけた顔になった。

「皆さん、仮面にちなんだ名前なんですね」
「わかりやすいからな」
「名無しのさんの見た目と仮面か…」

彼女の姿はそれこそ舞台に出てくる歌姫のような装い。

「単純にシンガーとかどうだ」
「この服装にそれ、合わなくない?」
「そうですか?」
「そうよ!」
「普通にアーティストでいいだろ」
「長いし」
「仮面舞踏会」
「名前じゃないし!」

名無しのよりパンサーのほうが意見を出している。それに対し彼女は不思議そうに声をかけた。

「あの、私は特にこだわりとかはないので…」
「駄目!女子なんだからそこはこだわらないと!」
「えぇ…」
「じゃあおめーはなんかいい名前あんのかよ?」
「……ディーヴァ…とか」
「ディーバ?」

パンサーの答えに全員が首をかしげる。

「Dive!…歌姫のこと」
「私には似合わないんじゃ…」
「そんなことない!」
「いいんじゃないか?ディーヴァ」
「今までのと比べりゃマシなほうだぜ」
「ううーん…皆さんが言うなら…」

遠慮がちにおずおずとそのコードネームをいただいた。

「それじゃあこれからよろしくねディーヴァ!」
「はい!ご指導よろしくお願いします」
「なぁ、ついでに敬語もやめねーか?年同じだろ?」
「えっあっ…でも…」
「そーそー、もう仲間なんだから!そういうのナシ!」
「もし先輩後輩、年配序列等を考慮しているならば不要だ。気にするような連中じゃない」
「あぁ」

全員が期待のまなざしで優しく見てくる。それに対して、何を思ったのか突然ぽろりと涙をひとつこぼした。

「にゃっ!?」
「ええ!もしかして嫌だったの!?無理強いだった!?」
「ち、ちが…そのっ久しぶりだったから…」
「久しぶり?」
「同年代の人たちとこんな会話するの、ひさしぶりなんです…」
「………それならなおさら話をしよう」

ジョーカーが近づき、ディーヴァに言う。

「そうだよ、たくさん私と話をしよう?女子トークってやつ」
「俺も君と話をしたい。そしてモデルになってほしい」
「後ろのが本音だろぜってー」
「というかパンサーの裸婦を描くんじゃなかったのか?」
「ワガハイは絶対に認めないぞ!」

同じ女子ということでパンサーが一番力が入っているのだろう。ディーヴァと女子高生らしい喜び方や笑顔を見せる。ディーヴァもそんな彼女につられてゆっくりと微笑む。初めて出会った時の表情が嘘のような笑みだった。

「さ、行こう」

改めて彼女を受け入れ、パレス攻略に向かった。以前の通気口から中に侵入し、扉を開けようとすると早速ディーヴァがそれを止めた。

「どうした?」
「前回より足音が多い。たぶん敵が配置されたんだと思います」
「まさか」

慎重に扉を開けて覗くと確かに今までいなかったシャドウが廊下を巡回している。

「警戒度が増したのか?」
「これじゃうまく立ち回れないっていうか…」
「全員相手にしていくか?」
「時間がかかるし余計に警戒度を上げてしまうおそれがあるな。どうする」
「…とりあえず近場の敵を倒そう。そこで様子をみてからだ」
「了解!」

敵が後ろを向いた瞬間にジョーカーはとびかかり仮面をはぐ。

「姿を現せ!」

バチリと仮面が引きちぎれ敵が四散し姿を現す。戦闘メンバーはジョーカー、パンサー、ディーヴァ、フォックス。

「敵3体!そんなに慌てるような敵じゃねぇ!」
「ディーヴァ、戦えるか?」
「えぇ、一応アクション映画のスタンドの方に教えてもらいました!」
「さ、さすが有名人…」

そして彼女はあるものを取り出した。


    
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