連載のブック

□ジェンガ
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「というわけで作戦会議なんだが…」
「…」
「何も思いつかないわよ…」

カランとジュースに入っていた氷が音をだす。場所は喫茶店である。モルガナが先頭をきって課題を申し上げるが全員は浮かない顔をしていた。

「…最終提案だしていいか?」
「最初で最後の提案…」
「耳栓する?」
「「だと思った!!」」

暁の言葉に竜司と杏はツッコミ、祐介は「それだと指示が聞こえないだろう」と突っ込んでいた。

「ぱっと思いつくのがそれしかねぇんだよな…」
「でもこっちも問題になるし」
「……鼻と口を塞げば歌は止まるな」
「それ実行するなら祐介がやれよ?」
「では、なしで」

嫌だったようだ。

「他の方法って言われても…」
「モナ、なんかねーの?変身で」
「ないから作戦会議してんだろ?!」
「やっぱり耳栓…」

覚悟を決めるしかなかった。







人数分の耳栓を揃えてメンバーは目的地へと足を運ぶ。この作戦が失敗ならお手上げに近い。

「おい、あれは…」
「…名無しのさん?」

ビル前の場所に一人立っている。我々の待ち伏せなのだろうかそこから動かない。見つかったら厄介なのは間違いない。

「中に入るのを待つか」

そうして少し離れた位置で止まり、いなくなるのを待った。しばらくしてから、彼女の姿が消えた。

「えっおい!?」
「なに!?なにが起きたの!?」

ビルに入ったということではなく、その場で消えたのだ。急いで近寄り周りを見渡す。

「いない…」
「何処にいったんだ……まさか…」

暁は自分の携帯をみた。赤い気持ちの悪い目のアイコンがゆらゆら光っている。

「入った…のか?」
「嘘っ!?」
「だったらやべーぞ!!」
「早く行くぞ!」

素早くパレスに侵入して彼女を探す。

「どこだ!?」
「名無しのさん…!」

今行ける場所を全部探したが、どこにも見つからない。あと行けるとしたら、それは課題が残る場所。
全員に迷いはなく、そのまま最後の部屋へと侵入した。

「名無しのさん!」
『…またお前たちかやはり雑菌は何度も入り込んでくるものだな』

苛立ちを隠すことなく吐き出した男の目の前に、檻の中で倒れる彼女の姿があった。逆の檻にはもう一人の認知の彼女。

「てめー!なにしやがった!!」
『反抗的な家畜がいたから捕まえて調教しているだけさ、何をそんなに怒る?』
「あんた!人間をなんだと思ってんの!?」
「うぅ…」
「名無しのさん!」

檻の中でゆっくりと起き上がる大黒を見つめた。

『ようやく起きたか豚め』
「…堀野…さん?」
「違う!!それは本人じゃない!」
「この声は、貴方達、ここで何を…いいえ、ここは一体…」
「話は後だっ」

すくりと認知の彼女が立ち上がり、息を吸う。メンバーは急いで耳栓をして、準備を整えた。

『 』

声を発する。だがメンバーは前回とは違い、普通に立っていられるようだ。

『なにぃ!?』
「…っ」

親指を立てて作戦の成功を伝え合うと戦闘に入った。相手はもちろん認知の彼女とその主。

「いくぜ!」
「ゴエモン!!」
「キャプテンキッド!!」

ペルソナを喚び出し、彼女と彼にジオとブフを当てる。

『ぐぅっ!!』
「こいつよっわ!」
「硬いのは彼女のほうか…」

すでに膝をついている彼を無視して檻に守られた彼女を意識しだす。攻撃を受けてもなお止まらない歌はさらに声量を増していく。

「まずは檻をなんとかしないと…」
「ぶっこわしてやらぁ!!」
「おいスカル!」

互いの声が聞こえないため、止めることができない。

「いくぜキャプテン…」
『 』
「!?いって!!」

殴りかかろうとしたスカルが止まり、よろめいた。心配したメンバーは近寄る。

『 』
「いっ!」
「きゃっ!」
「っつ!」
「ふぎゃっ!?」

全員がビクリとはねて耳の痛みを感じた。耳栓が壊れている。

「ウソなんで!?」
「破片が中に…」
「それどころじゃ…にゃっにゃにゃーん!?」

早速モナが混乱し始めた。


   
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