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□天然もの
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「あれ、暁くん?」
「えっ」

それはありえない場所での再会だった。

「…え、誰?」
「っていうか人間?本物の?」
「ここ、メメントスよ……?」
「まさか巻き込んでしまったのか?」

下の階へ移動してきた怪盗団メンバーのリーダーは声をかけられて間抜けな声を出してしまった。

「ていうか、ジョーカー、知り合いなの?」
「じょーかー?新しい遊び?それともそういうのが流行ってるの?」
「…名無しさん、何でここにいるんだ?」

ジョーカーが声をかけた人間の名前をつぶやいて質問していた。彼もだいぶ混乱しているようで相手の肩をがっちり掴み揺らしていた。

「なっなんでって、電車にのって、暁くんに、会いにいこうとしただけでっ」
「電車に乗っただけ?本当にそれだけか?携帯に変な気味の悪いアプリ入ってないか?というか変な怪物に襲われてないか??いやなんでここにいるんだ?」
「落ち着けジョーカー!」

モナが渾身の一撃でハリセンを一発ぶち込んだ。それにより我にかえり手を離して咳ばらいをする。

「あぁ、えーと、彼女は前の学校の同級生だ…」
「初めまして!名無しさんって言います!」
「は、はじめまして…」
「とにかく外に出ましょう。詳しい話はそれから」
「……」

クイーンが合図して全員に指示をだす。そんな彼女を名無しさんはじっと見つめて、他のメンバーも見つめた。

「…なっ何か?」
「いや…なかなかのコスプレだと思いまして……」
「えーと…コスプレじゃなくて…私たちかいと」
「しーっ!」
「それにここすっごく演出に凝ってるんですね!どこのアトラクションなんですか?新しくできたところですか?」

その答えにジョーカー以外が固まり、返答に困った。

「…こういう人だ」
「いや、ウソだろ?これ見てそういう反応する?」
「た、たくましいんだね…」
「この赤いお姉さんすごくない!?鍛えてるんだろうなぁ」
「いやあの!改めて言われると恥ずかしい…」

パンサーの服に興味を持ち、そのまま他のメンバーへと視線を向けていく。

「ねぇ暁くん!これなんのイベントなの?」
「あとで話すから、もう行かないとシャドウが…危ない!!」

彼女の背後からシャドウが現れ、ジョーカーが名無しさんを抱き込むように抱えてその場から離れた。

「っはぁ…無事か?」
「……」
「お、おい…」

流石に恐怖に思っただろうかと返事をしない名無しさんを見た。

「すっっっごいのね都会のアトラクションって!!」
「は?」
「暁くん!今のなに!?ばびゅって!ばびゅってよけたよ!かっこいいね!」
「…」

目を輝かせて興奮する名無しさんに対してもう突っ込む気力も失った彼はよいしょと彼女を立たせてメンバーに目を配らせた。
周りもそれに頷いて、戦闘態勢をとり、普段通りに戦うのだった。




天然もの




お願いチャンネルより

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