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□シスターコンプレックス
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私の兄は、シスコンだ。

「名無しさん!どうして一緒に登校しないんだ!!」
「いやよ!」
「変な虫がついたら大変だろ!?俺が…」
「つかない!邪魔!!ウザい!!」
「お前は危機感がなさすぎるんだ!」

兄が冤罪で都会にでる時「名無しさんも一緒がいい」と駄々をこねたため仕方なく一緒に来てしまった。両親も流石にため息がでて私の一番欲しかった最新型の携帯を買ってくれたくらいに哀れんでいた。止めてよ。

「ていうかお兄ちゃんのせいで誰ともしゃべれないし帰れないんだから!」
「いい事だ」
「よくないわよ!!気持ち悪い!」

この喧嘩も周りに見られて恥ずかしいんだから勘弁してもらいたい。

「昔はお兄ちゃんと結婚するって言ってくれたじゃないか」
「昔っていつよ!」
「よく俺におんぶしてくれってせがんでくれて…かわいかったなぁ…今もかわいいけど」
「恥ずかしいしキモい!!」

しみじみしている兄の腕を叩いて私はさっさと居候先のルブランに帰る。居候させてもらってる身で文句は言えないが部屋が一つしかない。つまり兄と同じ部屋ということ。帰ったら結局べったりされるのだ。
正直、着いてきてしまったことに後悔しかない。

「竜司先輩みたいなお兄ちゃんがよかったー!!」
「なんだと!?許さないぞお兄ちゃんはあんなヤンキー!」
「友達のことそんなふうに思ってたの!?」








「名無しさん、出かけるのか?」
「そうよじゃあね」
「待て!俺も行く!!」
「やめてこないで!」

兄のいる生活から少し離れたくて休日私は遊びにいくことにした。出かけると必ずついてこようとするから言いたくないけど、言わないと後がひどいので伝えておく。

「まて名無しさん!」
「待たない!!」

ずかずかと歩いてルブランを出る。着替えている兄を無視して私は早々に駅に付き、そのまま電車に乗る、ホームで兄を見たが電車は走り出したため、すれ違いだ。

「んーふふ、今日は何買おうかなー、洋服もいいしアクセもいいし…」

電車の中で兄のいない空間を楽しむ。一人とは気楽なものだ。自由に自分のやりたいことができるのだから素晴らしい。今日は最高!!

目的の原宿に付いて店を眺める。それだけでも楽しいから女子はこういうときにいいものだと思う。もちろん、気に入ったものがあれば買い物だってする。

「うおおお…この服めっちゃかわいい…」

しかし自分が着るとなるとなぁ…雑誌とかで着る人がきれいでかわいいから見栄えがいいのであって凡人の私が着て映えるかどうかと言われればNOだ。

「んー…いいか」

虚しくなりながら服を眺めて試着する、それを繰り返しようやく買い物を終える。

「次はどこ行こうかなー」
「ねぇ、そこのかわいい女の子」
「ん?」

携帯から目を離して見上げると一人の男性が立っていた。私に話しかけたのかな?

「うん、君だよ」
「何でしょうか」
「いやーかわいいからさ、ちょっとモデルにならないかなって」
「モデル?」

カメラを手に持っている男性は名刺と人の良さそうな笑顔でそう言ってきた。

「試しにそこの店で撮らせてもらっていいかな?一枚でいいんだ」
「店って、中でですか?」
「あぁ、ここだと人通りが多いから上手く撮れないんだ」

男性の手が私の腕を掴み、店に誘う。その時掴まれた部分から鳥肌がたち、私は振り払おうとした。

「いや、あのっ」
「大丈夫だよ他にも女の子はいるからね」
「私は…」

店の中に入りそうになった時、横からまた知らない腕が伸びて、男性の肩を掴んだ。

「すみません、連れに何か御用ですか」
「えっ…いや…」
「お兄ちゃん…」

自分の兄がそこにいた。男性を殺すんじゃないかってくらいに睨みつけて、肩を掴む手に力がはいっているのか服のしわが出来ている。

「何か、御用ですか?」
「いえっ…し、失礼しました!!」

睨みに恐怖したのか男性は私の腕を離して中ににげていった。不快感が離れて私もようやく息を大きく吐いた。隣で兄からも息が漏れる音が聞こえる。

「名無しさん」
「…はい」
「一人の外出禁止」
「そこまで!?」

兄の言葉に驚いて顔を見上げたら、すごく怒っているような、心配したような、なんとも言えない顔をしていた。少なくとも、兄に迷惑をかけてしまった。

「さっきは、ありがとう」
「当然だろ」
「あと、ごめんなさい」
「いいよ無事だから」
「でも一人の外出禁止は嫌っ」
「駄目」

そこは譲らないのか頑なに許可をしない。

「さっきのはたまたまよ!いつもあんな人と会わないし!!」
「俺が見つけてなかったらどうするんだ」
「お、大声で叫ぶから平気!」
「さっき叫んでなかったじゃないか」
「それはっ本当だったら迷惑かけちゃうから…」

言葉に反抗しようとするが図星もありなんとも言えなくなってしまった。

「今度からはお兄ちゃんも一緒にでかけるぞ」
「それは嫌」
「駄目、もう決めた。こんなことにならないように俺がしっかり守ってやるから」
「嫌です」
「もう怖い思いをしなくていいんだぞ」
「羞恥心があるわ!」








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