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□彼氏は今日も2
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「あれ、今日は彼女と帰んねーの?」
「何言ってるんだ帰るに決まってるだろ」
「でも名無しさんちゃん来てないよ?何かあったの?」

放課後昇降口で竜司と出会い、ふいに言葉をかけられた。杏もそういえばと周りを見渡す。

「今日は先生の手伝いで少し遅れるんだ。くっ…下校時間になっても学校のために頑張るなんて…!やっぱり天使だった!!」
「あーそう…」
「この間も転んでしまった生徒へ気遣っていたんだ、さらに保健室まで連れていってあげたんだぞ!?こんなに優しいんだぞ!!?」
「わーった!!わーったからこっちに迫ってくんな!」

彼女のことになると発狂する勢いで彼女の良さを伝える彼、暁は今も片耳にイヤホンをつけている。

「手伝いが終わったな」
「…」
「それならあたしたちもう行くね」

恋人の邪魔をしてはいけないと杏が声をかける。しかし以外にも暁がそれをとめた。

「いや、少しまってくれ」
「どうして?」
「杏と竜司の連絡先が知りたいって前名無しさんが言ってたからせっかくだし」
「俺も!?」
「暁が教えればいいじゃん?」

確かにそちらのほうが手っ取り早いが、暁は首を横に振った。

「そうだけど、二人と直接話して交換したほうが名無しさんも嬉しいだろうから」
「…本音は?」
「二人と会話して嬉しそうに笑う名無しさんの顔と俺にそれを報告してくるであろう行動を見たいし写真に収めたいから」

欲望の塊である。

「暁ー!」
「あぁ、終わったのか?」
「うん!お待たせ―!」

先ほど二人に見せていたデレ顔なんて跡形もなく、クールな顔になった。

「あー!竜司くんと杏ちゃんだ!どうしているの?」
「たまたま会った」
「ほんと!?実は私二人と連絡先交換したかったんだ!」
「え、あぁーそうなんだ!?」

さっそく自分の携帯を取り出して交換をせがむ名無しさん。竜司と杏はつられて取り出し交換を始める。
この時暁はすました顔をして鞄に腕を乗せて携帯を片手にじっとしていたという。

「わーい!ありがとう二人とも!いっぱいチャットしようね!」
「うん!」
「しょうがねーな!」

わいわいと二人に可愛がられる様子をのんびりと眺めながら暁の携帯はカメラの連射音が小さく鳴り響いていたと、モルガナは語る。

「暁!暁!!」
「うん」
「交換したよ!交換してもらった!」
「そうだな」

にぱにぱと笑って暁に報告する名無しさんに小さく笑い一言伝える。片手のカメラ連射音は鳴りやまない。

「それじゃぁ俺帰るわ!」
「名無しさんちゃんまたチャットでねー!」
「ばいばーい!」

二人は今度こそ暁と名無しさんに手を振って帰っていった。

と見せかけて二人の後ろ姿を見つめた。


「暁!二人と何話そうかな!?」
「名無しさんの話たいこと?」
「うーん、話したいことか…」
「あぁ」

いつの間にか彼女の荷物を当たり前のように持つ暁ときゃあきゃあと笑って話す内容を相談する名無しさんの姿があった。
竜司と杏は「複数のペルソナを使えるとはこういうことかもしれない」と顔を見合わせておとなしく帰っていった。








翌日

「…名無しさんがかわいすぎて43回死んだ……」
「だいぶ死んだわね…」

教室で顔を赤らめて手で口元を隠す暁が杏に報告をしてきた。

「連絡交換もそうだったけど、チャットした後に俺に電話で報告してきてさ…その時の顔が見れなかったのが残念だけど声がほんっとに嬉しそうで…はぁ…かわいい…」
「…そう」

イヤホンをして携帯の写真を眺めて涙を流しそうになっている暁。
杏はそれを半分聞き流して返事をしていた。

「朝もそのことで報告してきて…めっちゃ可愛い…」
「…暁はさ、その嫉妬とかないの?」
「嫉妬?」

惚け話を聞くのはいつもだが今の会話に暁が含まれていないこと、それでも彼は涙ながらに話していることに疑問をもったのだった。

「だってさ、竜司とかほかの男とチャットしてるわけじゃん?そういうのどうなの?」
「そうだな…嫌な気持ちは確かにあるけど」
「けど?」
「それ以上に名無しさんが俺に笑ってくれるから、いいかなって思ってる」

暁の顔を見て、杏は笑顔を見せて「そっか」とだけ返した。

「笑顔にもいろいろな種類があってな、満面の無邪気な笑顔だったりはにかみ笑顔だったりとかほんとかわいい時たま見せてくれる照れ笑いが特にかわいい、あれを見るたびに心臓が止まって救急車呼ぶレベルでヤバい、極レアは恥ずかしいがりながらの笑顔だな、あれは本当にダメだ、心臓もそうだが男としてのなにかg」
「あ、もう授業始まるみたい」

すぐに白い目に戻った。











彼氏は今日も2











元ネタ:あっくんとカノジョ

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