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□子供のようなもの
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それは放課後の出来事だった。

「名無しさん!ごめんちょっといいかな」
「どうしたの三島」
「えーと、サイトの管理のことで相談があるんだ…」
「あぁ、またなにかバグ起きた?」
「ま、まぁ!そんなとこ!」
「いいよ、何が起きたの?」

最近三島は名無しさんに声をかけることが多い気がする。しかしいざ話すとしどろもどろだったり言葉に詰まったり、慌てたりと行動に反している。

「ここの掲示板の表示がさ…」
「あぁーこれ?管理ページで何か新しいことした?」
「えぇーと…」

携帯が小さいから自然と距離が狭くなったり触れるということもある。それは別にいい、問題は明らかに三島の顔が赤いということだ。

「これだよ、ここの表示の仕方変えたから」
「あっそそ、そうなんだ!!へー!」

明らかに動揺している。要件は済んだか?なら早く離れろ。

「あんた最近サイトの管理できてないんじゃない?」
「そ、そう…かな…?」
「何か問題でも抱えてるの?」
「いやっ!!べべ別にそういうんじゃないよ!?」
「へぇ…」

隠す努力をしたほうがいい。名無しさんも呆れてるぞ。

「深くは聞かないけど」
「はぁ…はっ!じゃ!あの!その…今度の休みに俺にサイト経営のこと教えてよ!」
「は?」

は?

「ほら、名無しさん詳しいから…ここは、そうみっちりと教えてもらったほうが…」
「え、うーん…そうだなぁ」

話は終わったな?神への祈りは済ませたな?

「名無しさん」
「暁?」
「みんな外でまってるぞ」
「え?…うんわかったじゃぁ三島、またあとでね!」
「あ、あぁ、うん…また…」

わざと教室の外に出して俺も少し遅れてから外にでる。もちろん皆が待ってるなんて大嘘だが名無しさんならわかっているだろう。






「で、なんでそんなに不機嫌なの?」
「気づいてないのか」
「気づ…え?なんのこと?」
「…」

本気でわかってないのか?首をかしげてじっとこちらを見てくる名無しさんに俺はとうとうキレた。

「名無しさんは俺のだろ」
「…?」
「三島といてそんなに楽しい?あんなに近くにいて…」
「暁」
「もう少し距離取るとか、休日で会うのを断るとか…そういうの、あっただろ…」

自分でも言葉の繋がりがないことはわかった。ただ言いたいことを言って、彼女に伝えようとしていない。

「暁、嫉妬した?」
「…だからなんだ?」
「ふふ」
「なんで笑うんだ」

こっちはこんなに泣きそうなのに。

「暁も嫉妬なんてするんだ」
「え?」
「だって、あんたそんなそぶり見せないじゃない?そういう気持ちとかあるのか疑ってたんだ」
「あるよ、人間だし」
「そうだけどさ、ふふふ…かわいいね」

何がそんなに楽しいんだよ。

「かわいいのは名無しさんだろ」
「そーいうのはかわいい女の子に言うものなの」
「名無しさんはかわいいよ」
「うるさい、何よ笑ったことへのお返し?」
「そうかもね」

ちょっと名無しさんが照れた。少しだけ気が晴れたけどまだ足りない。

「名無しさん、今からデートね」
「え!?」
「俺の気が済むまで名無しさんのことをお姫様扱いするデート」
「えぇ!?」
「嫉妬させたんだからいいだろ?」
「私そんな気なかったんだけど!」
「関係ない」

彼女の手を掴んで強制的に街へと出た。名無しさんの顔がもっと赤くなった。これからもっと見れると思うとさっきの嫉妬心なんてどうでもよくなった。








子供のようなもの










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