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□匂いと欲
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※大学生で恋人  

    


本能とはときに無情である。

「ただいま…」
「おかえりなさい…わっどうしたの大丈夫?」
「名無しさん?なんで、いるの?幻覚?」
「何言ってるの?今日遅いからご飯作ってってチャットしてきたじゃない」

少しげんなりとした暁は昼間のやりとりを思い出した。

「あ、そういえば」
「大丈夫?確か合コンに巻き込まれたんでしょ?」
「合コン…ごう、こん……っっ名無しさんー!!」
「えちょっ!?」

がばっと泣きそうな声を出しながら名無しさんに抱きついてすりすりとすり寄っている暁。普段こんなことをする人ではないのだが、今回は理由があるようだ。

「暁、酔ってる?」
「…ちょっとだけ」
「拍車かかってんのね…なにがあったの?」

大きな子供を相手によしよしと頭戸背中を撫でる。すんすんと若干泣きながら暁は理由を話し始めた。

「相手の女子に迫られて、香水臭くて、セクハラされそうになって、目が怖くて、名無しさんの匂いがなくて」
「最後のは違うよね」
「間違ってないよ!名無しさんの匂いがないと安心できない…」

ふがふがと首筋に鼻を当ててふすふすと息をする。少しくすぐったさを感じるが暁が離しそうにないのでそのままにしておく。

「うー…」
「ほらほら、ご飯たべよ?ていうか食べられるの?」
「つまみとお酒しかお腹に入れてないからたべれる」
「そう、じゃ離して」
「離したら名無しさんの匂いがなくなっちゃうから先に名無しさんを食べる」
「は?まっ…むぐ」

衝撃の発言に反抗する余裕もなく暁は彼女の口を自分の口で塞いだ。合わせるものではなく、舌を入れてかき回すものであった。

「んっんぐ!んんー」
「ん、ちゅ、んむ…」

がっしりと頭を手で押さえ込み逃げられないように固定する。名無しさんも両手を使って抵抗するが暁のこの行動に勝てたためしは一度もない。

「んま…やっ、んちゅ…」
「はっ、ちゅう…ん…」

好きな人の唾液は媚薬。どこかでそんなことを聞いた気がするが、まさしくそのとおりなのかもしれない。名無しさんの頬は紅葉し、息も荒くなってきていた。手の力は抜けて足もふらついている。それを確認したのか口付けは離さぬまま彼女を持ち上げてスタスタと営みができる場所へと移動する。
目的地へと着くと口を離してすぐに彼女をそこに降ろして仰向けに寝転がせる。その上に暁が遠慮無く跨がり逃げられないように名無しさんの足の間に体をいれて両手を頭上に拘束する。

「っは…あっ…あき」
「名無しさんの匂い、いっぱい嗅がせて?俺に名無しさんの匂いをつけて?」
「ほんと、んん…」

言い終わらせる前にまた口をふさぐと空いた手で足や彼女の服の中に手をいれて愛おしそうに撫でていく。捲れた服はどんどん名無しさんの体を晒していく。

「んぁ、ちゅる、ちゅっ」
「ちゅ…んちゅ、はぁ」
「はふ、ふぁ…あっ」

やっと口を離したと思えば今度は首筋までなぞりそこを舐める。その間も名無しさんの体を弄る手は止まらず下着をずらして直接触りにきていた。

「や、ぁ、やだ」
「うそつき、気持ちイイだろ?」
「んっ…だめ、乳首、やぁ!」
「もっと感じて」

指で膨らみの頂にある硬いものをつまみ、少しひねり、押し込んだりと遊んでいく。そのたびに律儀に反応する名無しさんを見て首筋から顔を離して服を取り払っていく。拘束していた手を離して上の服を脱がせ、下の服へと手を伸ばす。

「まって、だめ!」
「待たない、我慢できない」

力が入らない彼女の手を気にすることなく全部取り払う。一糸纏わぬ体が自分の使う寝床の上で恥ずかしそうに動く光景を暁は何度見ても飽きることはなかった。

「名無しさん、もっと見せて…」
「だ、め…やぁ、あっ…」
「かわいい」

胸に顔をうめてその間を舐めたり息を吸ったり、手は胸から腹へそして恥部へと撫で下ろしていく。

「ひゃっあぁっ!やだっ」
「ん、ちゃんと慣らすから…」
「あっあん…だ、め…ひっ、ああぁ!」
「気持ちいい?」
「や、やら、だめっそこ、あっ」

にゅるりと指をいれて一番感じる場所をついていく。聞こえるようにわざと音を出しながら差し入れし、指を折り曲げる。

「ひゃぁぁ!ダメっきちゃ…ぁん!」

限界に近いことを察して暁は指を抜いた。彼女は寂しそうな顔を見せた。彼は指についた液体を丁寧に舐めとり自分の服を脱ぎ始める。名無しさんはその様子を視線をずらして見ないようにしていた。
すべて脱ぎ終わり、彼も彼女同様になり、ゆっくりとまた覆いかぶさる。

「もっといろんなことしたいけど今回は無理っぽい」
「しなくていい…ん」
「ちゅ、っは…いれるね」

くちっと音を立ててそのままずぶずぶと中に埋め込んでいく。名無しさんは入ってくる熱に浮かされて息があらくなっていく。暁も射精をぐっと堪えて全部入れていく。

「っはぁ…やっぱ名無しさんの中気持ちいい」
「っそういうこといわなひゃぁ!」

じゅぶりと少し抜いて奥に突く。それを繰り返しながら暁は名無しさんの首筋に再び鼻を押し付けて息をする。それすらも今の彼女にとっては快感の刺激にしかならなかった。

「あっ、あぁっ!はげっし」
「名無しさん、名無しさんの匂い」
「んっやだっそこ、だ、だめ!」
「好き、名無しさん、好きだよ!」

だんだんと打ち付ける速さが上がり、暁も名無しさんもお互い絶頂まできていた。ぐちゅぐちゅと音が響き耳を犯していく。

「あっ!らめ、まっもう!ダメェ!」
「イって、名無しさんイッていいよ、んむっちゅう」
「んっんんっ!んぁっんんーーー!!」
「んっ!…んぅ…」

愛おしさにたまらずまた口付けをし、そのまま名無しさんは絶頂を迎えた。中の締りに耐えられず暁も思い切り射精する。どくどくと名無しさんの中に欲を全て吐き出し、じゅぷりと落ち着いた熱を抜いた。

「ん、っはぁ…まって、あきら…」
「なぁに?」
「ごむ、つけてないの?」
「…ごめん、忘れてた」

べしっと力が入らない足が暁のお腹を蹴る。

「やだ!どうすんのよ!」
「別にいいだろ、結婚するんだから…」
「けっ…!!そうじゃなくて!」
「したくないの?」
「違う!」
「結婚してくれるならいいだろ?」

また腹に蹴りをいれる。今度は強く。

「今デキちゃったら暁と二人の時間がなくなるじゃない!」
「…」
「…あれ?私、今…」

怒りとはっきりしない頭でポロっとまずいことを発言した気がする。だがもう遅い、暁はみる見るうちに笑顔になり、顔も赤くなっていく。名無しさんも顔が赤いがこちらは恥の意味である。

「もっ、忘れて!忘れろ!!今のはなし!」
「忘れない絶対に忘れない!」
「やだやだやだ忘れて!」
「照れるなよ、ほんと名無しさんはかわいいなぁ」
「もぅ、やだぁ…っや!なにして…」

布団をかぶって逃げようとした名無しさんの恥部にぐちゅっと何かが入る感覚があった。

「出したやつかきだそうと思って」
「ちょっと!んぁっ…ヤダっあぁん…」
「…もっかいヤろ」
「だから!やっやだって…ひん!」

指で精液を外に出しつつ、刺激を与えてその気にさせる暁の顔は獲物を見つけた肉食獣の目に煮ていると名無しさんは思った。

それも、素敵。





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