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□将来話
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「どれが好き?」
「いきなり言われてもなぁ…というか早くない?」
「今からこういうのだってまとまってても損はないと思う」
暁が急に結婚雑誌を私に突き出して言うもんだから困った。
確かに付き合ってますけど結婚するかどうかわからないし、そもそも高校生の私たちにとってみればまだ先の話なわけで。
「結婚するなんて決まってないじゃん」
「名無しさんは俺と結婚したくないの?」
「いやそれは、したくないわけじゃないけど…」
「じゃぁいいじゃん」
違う、そういう問題じゃない。
また雑誌に目をとおしてたまに「これだとちょっと露出が」とか言ってる。私もそのドレスはちょっとないわ。
「やっぱりこっちのほうが似合うと思うんだよ」
「どれ…えぇー!もう少しフリル多いのがいい!」
「じゃぁこっち?」
「うーん、悪くないって感じ?」
暁が選んだドレスはフリルが少ないすっきりとしたドレスだった。でも私はかわいい系がいいので拒否。
「もう少しふんわりしたのがいい、あっこれ!こういうの!」
「これか…うーんちょっと大きすぎない?歩きにくくない?」
「そーいうのは二の次!いいじゃない」
女の子のおしゃれ基本わかってないんだから。まず相手に綺麗とかかわいいとか思わせたいのが基本でしょ。
「あとこれだと君のこと抱っこしにくそう」
「何を言ってんだ!」
「え、俺やりたい」
「やらんでいいわ!」
変なとこにやる気を出さないでほしい。恥ずかしいことを平気でするのがこの男の怖いところだ。その気になれば学校の屋上から「好きだ」って叫びそう。
「…わかった」
「わかってくれた?」
「とりあえず候補全部試着して俺が一回その状態で抱き上げる」
「は」
「それで抱きやすいか比べれば問題ないだろ」
「あるわ!!」
この彼氏は私を抱き上げてどうしたいのだろうか。とりあえず一発チョップを入れて結婚雑誌をとりあげた。
「あっ」
「これはゴミ箱いきです!この話も終わり!」
ずぼっと袋に入れて口を閉じる。さすがにあきらめたのか暁も何も言ってこなかった。そして鞄から何かを取り出して…って。
「なにそれ!」
「結婚雑誌、二冊目」
「まってどれだけ買ってきたのよ!」
彼のカバンから雑誌を取り出そうとしたけどするっと抱きしめられて足の間に座らされた。
「ほら、一緒に見よ?」
「…あーもう、ほんとあんたって…」
「うん」
将来話