彩りの部屋
□落ちた先の人は…
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「ーー本当にすいませんでした!助けていただいたのに、熊さんって言ってしまって…」
あの時、私の下にいたかわいそう…いや、不運な人は浪 燕青という毛むくじゃらな人だった。
「あのっ、私の名前は千野 立花です!付かぬ事をお聞きしますが、ここって日本…です、よね?」
今私は、生まれて初めての野宿をしながら自己紹介をしている。なのに、なぜこんなことになっているのだろう…?
「いやー、お嬢さんって背ー高いなー。あっ、ここはニホン?じゃないぞ?彩雲国の貴陽に行く道の真ん中だ!んでもって、今から俺と一緒に貴陽まで行こーぜ?」
とても朗らかな良い笑顔で、私の頭では理解できないことを言われたような…
……ちょっと待て
千野 立花落ち着け、落ち着くんだ。ここは冷静に。
深呼吸して…
「燕青、さん?「燕青でいーぜ?」…燕青、悪いんですけど、もう一回言ってもらってもいいですか?」
頭が痛くなってきた気がした。声も疲れている気がする。
「だから〜ここは彩雲国だって!お嬢さんはニホン?ってところから来たんだろ?でもって、彩雲国にニホンってところはない!
……たぶん。そして、お嬢さんは頼りになる人がいない!だから、お嬢さんは俺と一緒に貴陽までいく!」
先行ってるぞ〜
そんな笑顔で言われても…
あっ、敬語外せよ〜
もう、かなり前に進んでいる燕青から声がかかった。
まだいろいろ謎に包まれているけど、取り敢えず燕青に着いて行ってみよう、そう思った。