novel


□夕日の中で
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波の音が聞こえる…
「…!」あれなんか…誰か俺を呼んでる声がする…
「ソラ!おい起きろー!」
今度ははっきり聞こえた…これは…
「なんだよー、リク。もう起きたよ…」目の前には、俺の恋人のリクがいた。どうやら俺は砂浜で眠りこんでいたらしい。
「あんまり寝てると風邪ひくぞ。
遅くなってごめんな、帰ろっか。」
そう言って手を差し出して俺を立たせてくれた。
「うん。帰ろっか!」
俺とリクは2人で並んで砂浜を歩き出した。夕日に照らされる道を歩きながら、俺はふと思った。
ついこの間まで世界を救う旅、今となりにいるリクを探す旅に出ていた。
その時は必死で、こんな生活を想像もできなかった。一緒に旅をしたドナルドとグーフィーの3人で、たくさん笑ったり、悲しんだり、傷ついたり、ケガをしたり…いろんなことがあった旅だった。大変だったけど、その経験があるから、俺は今こうやってこの島にいれることを本当に大切にしていこうと思う。
「どうした?何か調子が悪いのか?」
黙っていた俺にリクが声をかけてきた。心配そうに顔を覗き込んでいる。
「大丈夫!ちょっとぼーっとしてた!」リクの顔が目の前にあってびっくりした…
顔が真っ赤になっている俺にリクが額に手をあててきて、さらに真っ赤になる。
「熱はないみたいだけど、顔が真っ赤だな…早く家に帰ろう。」
「違うんだよ…俺、リクの顔が目の前にあって…恥ずかしくなっちゃって…。風邪じゃないから、大丈夫…っ!」
急にリクが額にキスをしてきて、俺は固まった。
「そんな顔でその言葉は反則すぎ…」
ぽかーんとしていた俺は少し笑ってしまった。こんな会話ができて、本当に嬉しくて、ずっと続けばいいと思いながら、2人でまた歩き出し、家路についた。

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