04/28の日記

15:18
『美少年美術史』からみるモブ君の魅力(※注・ヌードイラストあります)
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「十二歳の少年の美花に、私は愉悦するが、だがそれとても、欲情をそそることにかけて、十三歳の子には、遥かにおよばない。
十四歳の子の花の蜜は、それよりさらに甘く、十五歳になったばかりの子から得られる悦楽は、なおいっそう大きい。
だが十六歳は、神々のための年齢であり、十七歳になれば、それを求めるのは、ゼウスの為したまうことで、私のすることではない」
(二世紀ストラトン『少年愛詩集(ムーサ・パイデイケー)』四番、吉田敦彦訳)



今回は2016年筑摩書房から出版された『美少年美術史-禁じられた欲望の歴史』著者・池上英洋、川口清香を読みながら、少年モブ君の魅力について思いを馳せてみようと思います。

この本は丁寧にギリシャ神話からキリスト教までをたどり、少年の存在を説明していきます。
根深い女性蔑視から純潔のシンボルとなった少年、さらにはキリスト教における禁欲最大の敵ともいうべき男性同士の同性愛までを冷静に説明しています。

けれどもここでは、禁欲にいたる前の時代を中心に、魅惑的な少年についてをモブ霊と照らし合わせて考えていこうと思っています。

まず“美少年”が誕生したのは古代ギリシャ、クラシック期(紀元前480年〜323年頃)になります。
ギリシャの神々を喜ばせるために男たちは鍛え抜かれた美しい肉体美(筋肉)と内面の美しさを競っていきます(オリンピックの始まり、男性たちが筋肉を見せ合うため全裸で行われた)
この時代の美少年とは、たくましく、均整のとれた筋肉美が重視された姿でした。
彫刻では理想像として、割れた腹筋、青年のような腕の筋肉といった感じで作られました。

そして1世紀になるとついに少年愛が登場します。
古代ギリシャ、軍国主義のスパルタでは、皆兵制がありました。
男たちは日常的に体を鍛え、集団生活を送りました。

ここで“年長者”による“年少者”の“導き”が始まります。
年少者とは冒頭で引用した12歳〜15歳の少年です。
年長者とは成熟した男性です。
古代ギリシャ当時の平均寿命が50歳に満たないことを考えると、年長者は16歳から50歳となります。

年長者は、これと見込んだ少年に交際を申し込むことから始まります。
少年の父親に承諾を得て、金銭や少年たちが遊びに使う闘鶏を贈ります。
そして少年も選ぶ権利を与えられます。
こうして年長者は少年に兵としての教練と倫理教育を行います。
二人の関係はそれだけではなく、肉体関係もありました。

少年愛を「パイデラスティア」といいますが、これは年長者(エラステス)が年少者(エロメノス)を教育する(パイディア)という言葉から来ています。

年長者が年少者を教育する。これはまさに霊幻とモブ君!
しかもモブ君は肉体改造部に入り、肉体を鍛えています。
それに霊幻の教育が入るのです。
完璧です!!

さて、パイデラスティアにおける肉体関係ですが、近年まで男性同士の恋愛、少年愛における彫刻、絵画はすべて依頼主も製作者側も男性のみでした。

そして彫刻、絵画には約束事がありました。
まず、年長者は高身長で描かれました。
年少者は純潔を意味する極端に小さな男性器を持って描かれます。これは少年愛が復活した時代のダビデ像にも受け継がれています。

ギリシャで板絵が描かれなかった時代、陶器や銀製のカップに肉体関係を物語る絵画や彫金が多数施されています。
年長者が少年を太ももの間に挟み、少年の性器に触れ、少年は年長者の頭に手を回す絵があります。
少年を太ももの間に立たせたり、太ももの上に座らせる構図を「太腿の契り」といいます。
また、年長者が少年の頭と性器に触れる構図を「上下の構え」といいます。
どちらも基本的に年少者が受け手になっていて、これはパイデラスティアにおいてあくまで年長者がリードすべきというルールがありました。
年長者が受け身を望めば、そしりを受けると書かれています。

個人的なことですが、モブ霊のベッドシーンを描くために海外モノのアダルト動画を探しても探しても少年×成人男性はありませんでした。
何百本と見てもない!なぜだろう?と思っていたら、このパイデラスティアにまで遡る文化だったとは!
つまり、欧米ではいまだに年長者がリードすべきという構図が根底にあるのです。

けれども、モブサイコの原作を見てください。

“年少者”のモブ君が、“年長者”の霊幻のもとを訪れています。
モブ君が自分の意思で霊幻を選んでいるのです!!
逆パターンです!!
これは2500年の少年愛の革新です!!
かくいう私もモブ君に出会うまで“少年”は受け身でした。
けれども、モブ君に出会って、モブ君と霊幻には今までのパターンが当てはまらないことに気がつきました。
それはひとえにモブ君の性格、性質がそうさせています。
年長者を自ら訪れ、年長者の霊幻に「あんた本当に霊能力者か?」と言い、第七支部の大人たちと戦い、鈴木社長や芹沢さん、果ては最年長者のエクボを前に堂々と暴挙を止める説得と戦いをします。

霊幻との関係では、年長者として生き方を教わります。
そして鈴木社長との戦いでの二人はまるで「神聖隊(ヒエロス・ロコス)」!
紀元前四世紀のテーバイで強力な軍隊となった、男性同士のカップルで編成された戦士達!
それも霊幻の立ち位置は、鈴木社長に消されかけるヒロイン!それにキレるモブ君という構図。極めつけはモブ君が自分の死を意識したときに視界に入る霊幻の姿!!

年長者が年少者をリードするルールはモブサイコという作品で完全に覆されます。
ここに年長者が少年を受け入れる構図ができあがるのです。

霊幻の懐の深さ、落ち着いた雰囲気、時々見せる嘘をごまかそうとする滑稽な姿。さらにモブ君に「うるせーな」と言われて黙ってしまう弱さ。
モブ君の凛々しさ、霊幻を失いたくない一心で出す勇気、受け身のように見える一方、ボケツッコミでいうと性質的にはツッコミ側になる強さ。

美少年美術史を揺るがすモブサイコとモブ君・霊幻は最強です!!



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