Kitten

□とおり雨
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 フンフンフン。やっぱりいいにおい。

 「あ、すいません」
 「タオルだけで大丈夫?なんなら着替えも…」
 「いえっ、そんな濡れてないので」

 ぼくを置いて出て行ったしんぐぅはすぐに帰ってきた。ちょんでを連れて。

 「チェナこっちおいで?ジョンデくんが拭けないよ?」
 
 ふわふわのタオルをちょんでに渡して、ちょんでのお膝に乗っているぼくに手を伸ばしておいでってされたけど、や〜だよ。ぼくはちょんでのお腹にしがみついた。

 「あはっ」
 「もう…置いてったから拗ねてるの?」

 そうだよ。ぼくビックリしたんだからね。

 「ごめんねチェナくん。イーシンさんは雨宿りしてるぼくを見つけてくれたんだよ?」

 道の向こうのお店のまえにちょんでがいたのが見えたんだって。ちょんでの指がやさしくぼくの背中を撫でてくれる。かおをうずめたお腹からもちょんでのいい匂いといっしょに雨のにおいがしてた。

 しかたないなぁ。すぐに帰ってきたし、ちょんでも連れてきてくれたからゆるしてあげる。
 ぼくはちょんでのお腹からかおをあげて、しんぐぅの足元にぴょんと飛び降りた。しんぐぅの足にグリグリあたまを押し付けてから、リビングのすみの棚のまえに座る。

 「え?あぁ、わかったよ」
 「あれ?それってこないだの…」

 うえの方の棚からぐぅぐが取ってくれたのは大好きなおやつ。

 「そう。チェナが気に入ったみたいでよく食べるの」

 ちょんでがくれたおやつはすごくおいしくて、レイヨンやヨリやキョニも大好きなんだよ。もちろんぼくも大好き。

 「そうなんですね。気に入ってくれてよかったです」
 「ただ…」

 おやつを手に持ったままのしんぐぅにの足にぼくはしがみついた。はやくちょーだいよ?

 「あぁ、ごめんごめん」

 フワフワしてる美味しいおやつ。しんぐぅがちょんでに渡して、ぼくはまたちょんでのお膝に飛び乗った。

 「ふふ、くすぐったい」
 「ほんと良く食べるんだ。ご飯食べなくなったら困るから、あげすぎないように気をつけてるんだけど……」

 しんぐぅはコチョコチョ撫でたりするし、るぅぐぅはぼくが怒るまでわざと高いところにあげたりする。ちょんではぼくが食べやすいように手のひらを傾けてくれたりして、大好き。

 「ご飯食べないんですか?」
 「…逆なんだ。ご飯嫌がるどころかすごく良く食べるから、こんなにちっちゃいのに病気なんじゃないかって心配で」

 あー、美味しかった。ん?
 食べ終わって毛づくろいしているぼくを抱き上げるちょんで。じぃ〜とかおを見たり、ひっくり返されてのぞかれたり、なに?ぼく毛づくろい途中なんだけど?

 「ん〜。目の色も毛ヅヤもきれいだし元気そうですけど…一度クリニックで診てもらってもいいかも?この間は簡単に手当てしただけでしたから」
 「そうだね、こんどお邪魔しようかな」

 ちょんでとしんぐぅが笑いながら話してて、なんだかわからないけどぼくも楽しくなってきた。さ、毛づくろいしなくっちゃ。


  
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