Guardian
□おとうと_side L
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ひょこっとかおをのぞかせたのは来年から小学生だというミンソクのおとうと。
「あ、帰って来たのか。にいちゃんの友だちに挨拶しな?」
タタっとミンソクの背中に抱きつくと、半分だけかおを出してフニャッと笑った。下がった眉毛が困ってるみたいで、でも口元は笑っててなんだかチグハグなんだけど、くるんとした目が面白そうにおれを見てる。
「あ…あんにょん??」
「あんにょーーーーんっっっ!!」
「うわっ⁉」
とりあえず手を振って声をかけたら、ちっさいカラダのどっから出てるのかと思うほど大きな声が返ってきた。まさに雄たけびなそれを耳もとでやられたミンソガがかおをしかめて耳を押さえるくらい。
「ご、ごめんな、ルハン。挨拶は大きな声でって教えたもんだから、あいつ容赦なくて」
「あぁ、うん」
固まったおれたちを残して、きゃーっと笑いながら走り去ったジョンデ。
両親の仕事が忙しいときはハルモニの家にいるというジョンデは、この年の子にしては聞き分けが良く、人見知りもしない。ただ、やはりさみしいのかミンソガが家にいるときはべったりで、ついつい甘やかしてしまうと笑ってた。
ひとりっ子でちいさい子なんて近くにいなかったからよくわからないけど、兄弟仲は良いんだろうな。耳がイテェと苦笑いしてるミンソガと話しながらそう思った。
「え?」
奇声を上げて逃げて行ったジョンデが、パタパタという足音とともに戻って来た。
と思ったら、ストンとおれの膝に座る。
「じょんでも本よむ」
「ちょっ、ジョンデ??」
固まるおれや慌てるミンソクに構わず、持ってきた絵本を広げた。
「じょ、ジョンデ?にいちゃんが読んでやるからこっち来な?」
「やっ、じょんでじぶんで読めるもん」
ミンソクが呼んでも、ふるふると首を振って絵本から視線を上げもしない。
「ルハニヒョン重いだろ?にいちゃんとこに来いって」
「るあにひょん?」
人間椅子にしてたくせにさもいま気付いたみたいに振りかえる。こんな至近距離でちいさい子に見つめられたことなんてなくて、どうしていいかわからない。
「…るあにひょんもいっしょによむ?」
「えっ?あぁ……」
はぁ〜とミンソガの吐くため息が聞こえたけど、こてんと首を傾げられてバサバサのまつ毛から見上げられたら嫌なんて言えるわけないだろ。