Guardian
□Don'tCry
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「あっ、ルハニヒョンだぁ」
「よっ、ジョンデ」
部活がなくて早く帰れるときはどちらかの家に寄る。たいていはオレのうちにルハンが寄ってくれる。両親が遅いときなんか、年の離れた弟のジョンデをひとりで留守番させるわけにはいかないから。
定期考査まえの今日は、ルハンがオレの家で試験勉強していた。
「ジョンデにおやつやるなよ。歯医者通ってるんだから」
「え?親戚から送ってきたお菓子持ってきたのに…」
やっぱり。
ジョンデが帰ってきた途端、かばんをガサガサしだしたから怪しいと思ってたんだ。
ひとりっ子のルハンはジョンデを可愛がっていて、ジョンデも懐いている。
「甘いものダメだって言われてるんだ。…ハニ?」
「あ、えへへ……」
「ひょぉ〜ん」
後ろ手にコソコソと菓子を渡そうとしてるルハンに釘を刺す。可愛がってくれるのはありがたいが、ちょっと甘すぎるのが困りものだ。
「なぁ、ほんとにほんとなの?」
「専攻クラスのことか?ああ」
あぁぁ〜〜とうなり声をあげて、机に突っ伏すルハン。
高等部はゆくゆくの受験に向けて理系・文系に分けられる。理系が得意なオレは当然理系クラスを希望したし、語学が強いルハンは文系クラスになる。
ただ、外国から転校してきたルハンは来年のクラス替えでオレとおなじクラスになれるかもと期待していたらしい。となりとはいえ校舎自体が違うから、ルハンのショックはハンパないようで。
「……おれも理系にしようかなぁ」
「化学ニガテじゃん、おまえ」
そうだけどぉ…と情けない顔はスキあらば女子に告白されまくるイケメンには見えなくて、そんな顔を知ってるのはオレだけかもしれないと思うと、おかしな優越感を感じる。
予想通り、定期考査後に発表された来年度の専攻クラスで、おれたちは理系と文系、それぞれに分かれた。
あのときの子ネコはルハンの家ですくすくと育っている。
このころはまだ、じぶんが獣医になるなんて思ってなかった。