Kitten

□レイヨンとちょんで
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 あ、この足おと。

 ぼくをしんぐぅが投げたおもちゃをくわえたまま玄関に向かった。

 「ちぇな?」

 って、玄関に向かう廊下にはこのあいだから柵が出来てて、ぼくの行く手を阻むんだ。

 「お外はダメだよ?ん?」

 追いかけてきたしんぐぅがぼくを抱きあげて、チュッってキスされるけどお外じゃないんだってば!お迎えなのっ。おもちゃならあとで持って行ってあげるのにぃ〜。

  ピンポーン

 ほらっ!

 「あれ?だれだろう?」



 ぐぅぐが投げてたおもちゃを、今度はちょんでが投げる。

 「ごめんね、お菓子とかなくて…」
 「お構いなくですよ〜。ぼくこそお言葉に甘えてまた来ちゃってすいません」

 しんぐぅの好きなお茶の匂い。
 ぼくは飲めないけど、ちょんではきっと好きなはず。そんな気がする。

 「ううん。来てくれてうれしいよ。ちぇなも喜んでるし」
 「ちぇんくんの足、もう大丈夫みたいですね」
 「おかげさまで、毎日飛び回って元気すぎるくらいだよ」

 ぼくは拾ったおもちゃをくわえて、ちょんでのおひざに飛び乗った。くびを撫でられてのどがグルグル鳴ってしまう。 







 お外に行った次の日。
 ちょんでがおうちに来てくれた。みんひょがぼくにおやつをくれたんだって。

 「子ネコ向けの試供品なんですけど、いまは子ネコの患者がいないからって」
 「いいのかな、なんだか申し訳ない…」
 「ふふ。昨日イーシンさんにきついこと言ったからちょっと気にしてるんだと思います。なんか困ったことがあればすぐに来るようにって言ってましたし」

 しんぐぅは「そんなことないのに」と言ったけど、ぼくはちょんでが来てうれしかったから、まだ帰らないでっておひざに乗ってゴロゴロしたの。ちょんでの手はほんとに気持ちいいんだ。

 「ちぇなはジョンデくんが好きみたい。ひとみしりは元々しない子だけど」
 「そうですか?うれしいなぁ〜チュッ」

 ちょんでがぼくを抱きあげてチュってしたら、ぐぅぐがちいさく「あっ!」て声を出した。不思議そうな顔をしたちょんでにしんぐぅは手をぶんぶん振って、なんでもないよって。ちょっとお顔が赤いし、ぐぅぐへんなの。

 しんぐぅとちょんではお茶のおかわりをしながら、いろんな話をしてた。
 「ぼくもそれ好きです」とか「仕事場にあるから貸してあげるよ」とか、楽しそうに笑ってたくさんお話ししてた。 
 ちょんでが帰らなきゃって立ち上がったから、ぼくはズボンの端っこをガジガジ噛んでダメって止めたんだけど、しんぐぅに離されちゃった。

 「あの…良かったらまた遊びに来ていいですか?」
 「もちろん」

 良かったって笑って、帰っていったちょんで。扉が閉まった玄関でぐぅぐが「楽しかったね」ってボソッと言うから、ぼくは言ったんだ。しんぐぅはちょんでが好きでしょ?ぼくわかってるよって。


 その日、しんぐぅが作った曲はなんだかいつもよりキラキラしてた。


 
   
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