Kitten
□おそとに行こう
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「チェナ?なんでカバンに入ってるの??」
るぅぐぅは毎日“オシゴト”っていうのに行ってた。帰ってもこないときもあったけど、しんぐぅの“オシゴト”はポロンポロンきれいな音を出すやつ。となりの部屋でポロンポロンするんでしょ。
チェナも聴く?っておひざに乗せてくれるときもあれば、ひとりで遊んでてね。ってお部屋のそとに出されるときもある。
でもいつもポロンポロン聴こえるし、しんぐぅのお歌も聴こえる。だからさびしくなかったのに。昨日も今日も“オシゴト”っておそとに行くの。
「狭いところが好きだからってここはダメだよ?ん?」
ちがうよ。ぼくもぐぅぐといっしょに“オシゴト”行くんだよ。だからカバンに入ってたのに、出されちゃった。
「お土産買ってくるから、いい子でお留守番しててね」
パタン。
足音が聞こえなくなって、おうちのなかはなんの音もしなくて、ぼくの爪が床に当たってカシカシいうだけ。
鳥さんの歌が聞こえる窓際に登ってみても、鳥さんはいなくてガヤガヤしたいろんな音が遠くに聞こえる。
“オルスバン”きらいだよ。
「ちぇんちぇん〜!おっきくなったかぁ?って、なってねーなぁ」
「やめてよ、るる。チェニがびっくりするでしょ〜」
ガチャガチャと音がしたからしんぐぅが帰ってきたのかと思ったら、さいしょに入ってきたのはるぅぐぅ。
「うわっ!ははっ、蹴られたぁ」
あかい顔してへんなにおいするし、蹴とばしたのに笑ってる。大笑いするとやっぱりへんな顔。
「もうっ飲みすぎだよ、るるってば!チェナ遅くなってごめんね」
フラフラしてるるぅぐぅをぼくがさっきまで寝てたソファに寝かせると、やっとぼくを抱っこしてくれたしんぐぅ。でも、しんぐぅもちょっとへんなにおいがする。
「あ、お酒臭いかな?そんなに飲んでないけど」
すんすんと嗅いでいるとしんぐぅがぼくを抱っこしたまま、上着を脱いだ。シャツになったらいつものしんぐぅのにおいが強くなって、なんだかホッとする。
ぼくはもっともっとと、あたまをグリグリと擦りつけた。
「それにしても、おまえがあんな可愛い曲書くなんてなぁ。スタジオのみんなも驚いてたぞ」
「はじめはもっとしっとりした感じだったんだけど、ボールで遊んでるチェニ見てたら転調してたんだよね」
「じゃあ、あの曲はちぇんのおかげってことか?」
ぼく?なに?
「そうかもねぇ」
「よっし!ちぇんにもご褒美やらなきゃなっ。おれがキャットタワー買ってやる!!」
うわぁ!
しんぐぅのおひざからぼくを持ち上げると、グルグルと回り始めたるぅぐぅ。
「いってぇ…。また蹴られた」
だっから、へんなにおいイヤなのっ!