Kitten
□レイヨン
1ページ/2ページ
※『』はネコ語です※
夕陽になるまえの日差しを受けて、黒?グレー?青みたくも見える毛皮はキラキラしててすごくキレイ。
『あぁ、ちょっと擦りむいちゃったね。ほかに痛いところはない?』
気づけばそこはだれかのおうちの柵の上で、ぼくを連れて飛び乗ったみたい。
『いたっ』
『立てる?』
ペロペロと舐められた後ろ足をみたら、すこし血が滲んでた。沁みるけどすぐに立ち上がれた。
『レイヒョンどうしたの?急がないと…ってどこのちび?これ』
『車に轢かれそうになってたんだけど、さっきから喋んないんだよねぇ。怖いのかな』
どこからか来たもっと大きいネコさんが来て、大きな声で話しかける。
『おーい、わかるか?コワクナイヨー?』
『えっ⁈』
肉球が目の前でブンブンと振り回されて、びっくりした。
『あたまは打ってないと思うけど、お話できるかな?おちびちゃん?』
『えっと、えぇっと……』
なんでぼくここにいるんだっけ??
・・・・!!
『ぼっく、おうっち…しんぐっ……ふっ、ふみゃあぁぁ』
『えっ!?ちょっ、どーしたの??』
『わっ!なんで泣くって、お?』
そうだった。
おうちを飛び出して、しんぐぅと追いかけごっこしてたはずなのに、ぐぅぐの「チェナーチェナー」って声がもうどこからも聞こえない。
おうちどこ?しんぐぅどこ?
急に怖くなって、目の前のふたりに言わなきゃって思うのに、涙がどんどん溢れてきて、声もことばにならなくて。
どーしよう。
おうちに帰れなかったら。ぐぅぐに会えなくなったら……。
『ふぇ?』
どーにもなみだが止まらないでいると、ふわっとあったかくなった。
「泣かないんだよー。だいじょーぶだからねー」
オンマみたいな甘い匂いじゃないけれど、いい匂いがして、ぐぅぐに抱っこされてるみたいな気がして、なみだが止まった。