not L but S
□プロローグ
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"黒"
それは暗く、妖しい色
いつだって"悪いもの"、"危険なもの"と隣合わせの色
私もずっと、そう思ってた。
なのになんでだろう。
あの日からずっと、そうは思えない。
ある日、私は危険な地に迷い込み、死にかけた。
が、危うい所で命を救われた。
"彼"は私を安全な所に置き、黙って去っていった。
あの時は幼すぎたゆえに、今ではもう、"彼"の姿は私の記憶の中にぼんやりとしか残っていない。
ただ一つ覚えているとすれば、彼がなによりも暗く、妖しい"闇"を纏っていたこと。
手がかりはそれだけ。
それでも探さなければならない。
どんなに深い闇でも構わない。
手を伸ばしてその闇に触れればきっと、"彼"だと分かるはずだ。
絶対に探してみせる。
だって、あなたは私の……。