闇金短編

□萌え袖について
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寒さが厳しい今日この頃。
丑嶋くんに情報を渡す為にカウカウの事務所に向かう。
やっぱりもうひとつの厚手のコートを着てくるべきだったと少し後悔しながら、事務所近くの自販機で温かいカフェオレを買う。

「丑嶋くんいる?」
呼んでおいて居ない。と言うことは一般的にはないが、丑嶋くんだったらありえるので、一応声をかける。
「戌亥くん。今たばこ吸いにいってるよ。屋上に居ると思うけど、行く?」
名前ちゃんに屋上へ繋がる階段を指さされるが、外の寒さを思い出してこのまま待機することにした。
「名前ちゃん、おはよう。今日は1段と寒いね」
ソファに座りながら、カフェオレの蓋を開ける。
「んね。朝来る時寒過ぎて、休みたかったもん」
笑いながら言う名前ちゃんの手は、袖で隠れてしまってよく見えない。
「その服、名前ちゃんの?」
明らかにいつものサイズより大きいパーカーに、素直に疑問を投げかけてみる。
「丑嶋くんのだよ。朝寒過ぎて、借りたんだ」
「なるほど。袖も裾もすごい余ってる。そうだ、今度俺のパーカー貸そうか?丑嶋くんのよりはサイズ小さいと思うんだけど」
萌え袖なのはすごく可愛い。だが、丑嶋くんの。と言うところに少し嫉妬してしまう。
「丑嶋くん背大きいからね。んー、じゃあ借りようかな?戌亥くんいい匂いするし」
「分かった。今度持ってくるよ」
まさか本当に借りてくれるとは思っていなかった。
しかもいい匂いとまで言われてしまった。
「俺、いい匂いなの?そんなこと初めて言われたよ」
「うん。なんかねー」
「戌亥。悪ィ待たせたな。」
いいところで丑嶋くんがたばこから帰ってきてしまった。
「平気だよ、丑嶋くん。はい、これ頼まれてた情報」
「ありがとな、戌亥。」
「丑嶋くん、今度母ちゃんのお好み焼き屋来てよ。母ちゃん喜ぶからさ」
「おう。皆連れて行くわ。」
決まり文句を言って、事務所を出る。
結局理由は聞けなかったが、名前ちゃんの萌え袖も見れたし、今度パーカーを貸す約束もできたからよしとしよう。

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