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□まだまだ子ども
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「霊幻さん……。すみません、助けてください」
深刻な顔をして相談してくるものだから、学校で何かがあったのかと、心配してしまった。
「どうした?何かあったのか?」
小さい子どもに話しかけるよう、視線を合わせ、優しく尋ねれば、少し躊躇いながらも話してくれる。
「お、俺……、好きな人、できて……」
なんだそんなことか。本気にした俺が馬鹿だった。思春期の男子みたいなことを言ってる芹沢を憐れな目で見る。そして、静かにテーブルの上に置いてあるお茶を飲みながら、
「それで、どんな子だ?」
「はい、えっと、名無しさん……です」
その言葉に、思わず飲んでいるお茶を吹き出しそうになった。
「おっ、お前も……。いやなんでもない」
不思議そうに、俺を見る芹沢を横目に昨日のことを思い出す。
「なんだよ、相談って」
心霊現象に関係なかったら、金取るぞ、と馬鹿にしながら聞けば、名無しさんは
「私、芹沢さんのこと……好き?なんです」
「何故疑問系?」
「確信持てないからです……」
「分かった、真剣に応援するし、手助けしてやろう」
ホントですか?と、目を輝かせる姿に、何故か犬を思い描いてしまう。また面倒事が増えたと感じながらも、手助けしようという気持ちになる。
「ときに芹沢よ、告白する気はあるのか?」
そう聞けば、一気に赤く茹で上がり、言葉にならない叫びをあげていた。
「そういうもんはなぁ、男からするものだ。ここでお前の男気見せてやれ」
「で、で、でも……」
「大丈夫だ。あいつもお前のこと、嫌いじゃなさそうだ。俺が言ってるんだから安心しろ」
そう励ませば、少し困惑していたが覚悟を決めたようで明日告白することになった。
一週間が過ぎ、俺は結果を聞いていないが、
「克也……さん、これ、お願いします」
「あっ、うん!」
どうやら、結果を聞くまでもないようだ。