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□初
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「ねぇ、今週の日曜皆でカラオケ行かない?」

友達から誘われ、カラオケに行く約束をした。

さすがに大人数だから、くじで人数とメンバーを決める。

「あ、秀樹くんと、…え?秀樹くんだけ?」

どうだった?と、友達に聞かれたがメンバーは秀樹くんだけだった。

「運命じゃん、しかも二人だし」

肩を震えさせ、笑いを堪えている様子だ。

「笑い事じゃない。カラオケという個室で、男女二人だけだよ。何が起きてもおかしくないでしょ」

「何考えてるの?変態」

笑いを堪えきれなくなったようで、背中をバシバシ叩きながら笑う。
それに好きでしょ?山村のこと、と耳でヒソヒソ話す友達。

だから余計嫌なんだよね…と心が不安でいっぱいになった。

不安の中、日曜日がやってきた。

「おはよー」

カラオケの前では、何人か既に集まっていて、その中に秀樹くんもいる。

皆が集まり、それぞれがカラオケの個室の中に入っていく。

「なんで二人なんだろうね?」

やり場のない疑問をぶつけてみるけど、

「俺も分からない。ま、入ろう」

入って秀樹くんが歌い始める。
歌っている秀樹くんを見てると、歌がとても上手で、点数は97点だった。

「初めから、こんな高得点だと歌いにくいよ…」

はにかむと、秀樹くんはにかっと、笑い

「頑張れ、名無しさんならもっと上手く歌えるよ」

そう言われたのが嬉しくて歌う。
その後は二人で歌ったり、違う歌を歌ったりして楽しかった。
二人とも同じ歌を知ってたら、嬉しくて顔を見合せ、二人で笑う。

何時間経ったか分からないが、カラオケの電話が鳴り響いた。
でてみると、終了時間10分前だった。

「もう、終わりだって。最後に何か歌う?」

そう聞くと、うーんと悩み、私の手を引っ張った。

「秀樹くん?」

引っ張られて秀樹くんの顔が、すぐ前にある。

ゆっくりと顔を近づけてくる。
あ、キスされると思い目を閉じた。

柔らかい唇が、私の唇に当たり、またゆっくり秀樹くんは顔を戻す。

「ごめん、もう一回」

そう言うと先程より、少し荒く唇を押し当て段々と角度を変える。

「ん、秀樹くん?」

熱っぽく、涙目な秀樹くんの頬に手を当て

「好きだよ」

秀樹くんはもっと顔を赤くし、抱きついてきた。
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