ファンタビ
□メリークリスマス
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「メリークリスマス、クリーデンス」
チラシを配っていれば、背後から声をかけられた。聞き慣れた声が聞こえ、後ろを振り返ればFirst nameの姿。
「あっ、メ、メリー、クリスマス……」
まさか会えるとは、声をかけられるとは思っていなく、上手く声がだせず言葉がつまる。けれども彼女はにっこりと笑い、僕の手にある分厚く、重いチラシの束を奪い取る。
「えっ、あの……」
驚き、慌てたら、手には先程のずっしりとした感覚はなく、あるのは冷たく軽い金貨だった。
「First name?……これは?」
目を見開き尋ねてみるが、スルーされ
「クリーデンスはサンタさんに何をお願いしたの?」
「えっと、僕は……ま、魔法が使えるようにって」
周りを見渡し、周りに聞こえないように小声で言えば
「クリーデンスなら使えるよ。今度一緒に練習しよう」
すべてが完璧な笑顔と、その一言がとても嬉しく、余韻のようなものに浸っていればFirst nameは去って行く。
他の子たちにも僕にしてくれたように、チラシをとりあげ金貨を渡していった。子どもたちは喜びFirst nameにお礼を言えば、急いで帰りお菓子屋や、おもちゃ屋に行ったようだ。
その様子をボーっと見ていればモデスティがやってきて
「クリーデンスはお菓子、買わないの?」
と、聞かれる。
「モデスティ、これあげるから一緒に行こう」
First nameから貰った金貨をモデスティと手をつなぐ。First nameが消えた方向に振り向き、貴女と合うことを願ってた。サンタさんありがとう、と心の中で呟いた。
「……クリーデンス?」
「ごめん、行こうか……」
不思議がるモデスティを安心させ、お菓子屋さんへと向かう。
「今日は嬉しそうだね、クリーデンス」
僕の心情を見透かされ、戸惑うが素直に頷けばモデスティはにっこり笑う。