Dream Castle

□雪景色の中で□ピュア
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「さむーい。」







白い息を吐きながら袖から少しだけ指を出して両手をさする手越が甘えたように俺の肩に頭を添えた。



「やめて、ここ空港。しかもお外よ、手越さん。」

「ほんと寒いね、この地は。」

「こういうときあなた、うぇー!!雪だぜーーー!!とかやるんじゃないの??」

「それはテレビ用の顔!」

「知らないわよ。(笑)」

「…慶ちゃん、もう東京帰るだけだけどいいの??」

「うん?……ん、だって明日も仕事だし。」

「もうちょっとエンジョイしたかったでしょ?」

ニヤニヤした手越が俺の顔を覗き込んでくる。

「いいよもう疲れたよ!あなたのおかげでロケ中雪の中に顔つっこんでた時間のほうが絶対多かったよ、俺!」

「うふふ♡風邪ひかないよーにね♡」

「ふっざけんなよお前…」

手越のニヤニヤした顔を見ていると怒る気もなくなって俺も笑ってしまった。

「…ま、今のはそういう意味じゃなくてさ」

「…」

「おーい!!」

「あ、来た来たー。もう!遅いよー!」



手越が何かを言おうとした時、向こうから黒のレザージャケットを着た男とワインレッドのショート丈のダブルコートを着た男2人が急ぎ足でこちらへ向かってくる。



「ごめん!シゲがトイレ長くてさ!」

「おめーだよ!どうしてもって言うから途中のサービスエリアに寄ってやったんだろ!」

「え、俺トイレとか行かないよ?」

「しかもその後にたぬき?きつね?なんだかわかんねーけど毛皮の帽子につられていくし…」

「え、ああいうの触りたくならない?!」

「いやあるけど!我慢しよーぜ大人!」


お互いに白い息を吐きながらくだらないことを言い合っていると待ちきれない様子の手越が少年のような声で怒ったように2人を悟す。

「もー!なんでもいいからぁ!早く中入ろ!!」

「だね、寒いとまっすーのトイレも近くなるしね。」

「や!だから俺は…!」


















空港内ーーー

地方ロケの帰り。



東京行きの便を待つ中、シゲがコーヒーを両手に持って片方を差し出して隣に座った。


「飲む?」

「アリガート」

「まっすーか!笑」

「正解!」




シゲとの間に少しだけ沈黙が出来て、何か察しているシゲは俺の心中を読むように少し遠慮した笑顔で俺に話しかけた。

「元気ねーな。」

「ん?…うーん。」

「まっすーも心配してたぜ。…元気出せよって言ったら無責任に聞こえるし頑張れよって言ったら無関心に聞こえるしな。」

「シゲがいるだけでいい。」

「気持ち悪い(笑)」

「ふふ。笑」

「そんで……嘘つくな。」

「…」


シゲは俺のことなんでもわかってる。


俺は今どうしても東京に帰りたくないという気持ちでいっぱいだ…


もう君に会えないのかと思うとどうしても胸が苦しいんだ ーーーー
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