短編夢小説
□お嫁さん(web拍手)
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お主とは、いつまでも一緒だと思っていた・・・。
他の武将にも引けを取らないほど素晴らしい腕前で、女性なのに戦の前線で某と一緒にいつも戦っている。
いつまでも、それが続くと思っていた・・・。
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「なっなっ!!縁談!?」
「うむ。いつまでも戦に出させるワケにもいかんだろう」
お館様が彼女に縁談の話を持ちかけていたらしい。
しかも、彼女はその話を受けたとか・・・。
居ても立ってもいられず某は急いで彼女の元へ走った。
勢いよく障子を開ければ、お主はキョトンとして見つめてくる。
「幸村・・・息切らして、どーしたの?」
「・・・っ。えっえっ縁談の話を受けたというのは本当でござるか!?」
すると「あぁ・・・」と呟いて、
「・・・うん」
と、言った。
「何故、受けたのでござるか!?」
「おっ落ち着きなよ幸村。そこに座って。・・・いい?
お館様が持ちかけてくださった話だし・・・私は良いと思ってる」
気持ちがズーンと沈むのが分かった。
「幸村は・・・嫌なの?」
「当たり前でござる!!!」
自然と体が動き、立ち上がる。
そして彼女に向かってそう言うと、とても悲しそうな顔をして見つめ返された。
「・・・そう」
彼女の切なそうな表情に心が痛む。
「某!!お主が誰かの嫁になるなんて考えられない!!
・・・ずっと・・ずっと・・・某の傍にいると思っていたから・・・」
「え?・・ゆき」
「某は嫌でござる!!!ずっと一緒にいてくれ!!」
再びしゃがんで彼女に言う。
顔が熱くなるのを感じながらお主を見ると、とても不思議そうな表情をされた。
「・・・幸村」
「・・・・・・」
「私は幸村が好きだよ」
「・・・・・・」
「・・・だから」
「えぇぇぇぇ!!??」
いきなり叫んだ某に驚いた彼女。
そこにお館様がやって来た。
「幸村ぁ!!人の話は最後まで聞けと言っておるだろう!!
その縁談の相手が・・・」
お館様は二人の様子を見て話すのを止める。
固まってしまっているお館様に代わって彼女が口を開いた。
「私、幸村のお嫁さんになるの」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・まことでござるか?」
今にも泣き出しそうな某の顔を見て、お主は優しく微笑んで頷いた。
(END)
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