物語

□【嫉妬】
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朝食を食べ終え修行に出向く夫を見送った後、チチが始めに向かうのは洗面所に隣接している洗濯機の前。
起床して直ぐに洗濯機を起動させているので干せる状態である。チチは洗濯物を籠に入れ庭で干したあと、今度はキッチンに向かい朝食時に出た大量の皿洗いに奮闘する。
それから各部屋を隅から隅まで掃除をし、午前中には家事を成し遂げると今度は自分の昼食作りに取りかかる。
朝食作りとは違い夫は今朝作った弁当を出先で食べてくるので自分一人分の並の料であるため楽勝であった。
そして昼食をとり後片付けを済ませたあと、ここからがチチのフリータイムとなる。


チチはリビングのソファーに座り、リモコンでテレビをつけた。

しかし、どのチャンネルを変えても今日はテレビを観る気分になれず雑誌や本を何冊かパラパラとめくるが…


「はぁ…暇だべ…」


結婚してから決まって午後からは暇になる。
夫は日没まで帰宅しないので、人っ子一人いないパオズ山に一人っきり…
フリーな時間は暇を潰すためテレビを観たり本を読んだり友人に電話をかけたりするが、四ヶ月もそれを繰り返すとさすがに飽きてくる。

それ以外の午後は週に二、三回 食材を調達するが、その日は前もって夫と約束し、午後から夫と町での買い出しをする。チチとしては買い出しをダシにしてデートに興味がない夫を誘う口実なのだが結局のところ時間に追われ買い出しだけで終わってしまうのだった。だからお洒落な店に入って お茶をしたりショッピングをしたりといった類は一切なかったがチチにとって大好きな人と一緒に過ごすだけで満足なのであった。


しかし今日は気分転換に結婚してこの方 縁遠くなったウィンドウショッピングを楽しむ事にした。早速チチは街まで足を延ばすと、一人ウィンドウショッピングを楽しんで街をぶらついていた。


(久しぶりに一人で ゆっくり街を歩くのも楽しいだべな♪
悟空さと街に来ても こうやって楽しめないし…
なんだか独身の頃を思い出すべ…)

チチは そんな事を思いながら歩いていると…


「あれ…チチさん?」


チチは後ろから誰かに名を呼ばれ、振り返ると見覚えのある男性が其処にはいた。


「やっぱりチチさんでしたか!
俺ですよ!ヤムチャですよ!」

「あーっ!ヤムチャさんけ!久し振りだなや〜」



以前、ブルマに招待された結婚祝いの席(物語【あいしてる】詳細) 以来の再会であり、二人は立ち話しを始めた。



「あれ?悟空がいないけど別々に買い物ですか?」

「悟空さなら修行だべよ。」

「じゃあチチさん一人ですか?」

「そうだべよ。たまには一人でショッピングだべ♪
ヤムチャさんも一人け?ブルマさんはいねぇのけ?」

「あ…そうなんですよ!俺も一人で…その…買い物…はははは…」

(ヤバイ!まさかチチさんに他の女の子とデートした帰りなんて絶対に言えない!!
もしバレたら悟空を通事てブルマの耳に入ったりでもしたら…
ここはひとまず話題を逸らそう!)


「あっ!チチさん!この洋服チチさんに似合うんじゃないかな…ははは…」


ヤムチャは手っ取り早くウィンドー越しのマネキンが着ている洋服を指さした。

「そ…そうだべか?」

「絶対に似合いますよ!
あっ、こっちも良いなぁ〜」

ヤムチャは隣のマネキンが着ている洋服も指さした。

「チチさんは可愛いから基本的になんでも良く似合うと思うけど、俺的には淡い色が一番似合うと思いますよ!」

「そう…だべか?」

「そりゃーもう絶対似合いますよ!
ほら、このワンピースなんかチチさん向けですよ!」

ヤムチャは店の入り口にあるワンピースを手に取った。

「だどもおらには派手じゃねぇけ?」

「そんな事ないですよ!いや〜可愛いなぁ〜」

ヤムチャは手にしているワンピをチチに重ねた。
事実、そのワンピースはとてもチチに似合っていてヤムチャに可愛いと連呼されるチチの頬はうっすら赤く染まり、一層チチの可愛さを引き立てた。
チチはヤムチャに心変わりしているのではなく女の子なら誰しも可愛いと言われれば嫌な気はしない。
そんなチチを見てヤムチャは心底 可愛いと思う。
ヤムチャが知っている女の子と言えば数知れない都会のギャルたち。その娘達と比べるとチチの容姿は全く劣らないのだが、内面は純粋無垢ためヤムチャの男心が擽られる。


(やっぱりチチさんは可愛いなぁ…)


ついチチを見入ってしまうヤムチャ。


「なぁ、ヤムチャさん?おら、この店の中 見てくるだよ。」

「あっ、チチさんが良かったら俺もついて行っちゃってもいいですか?」

「別に構わねぇけど…女物の服ばっかだべよ?ヤムチャさん暇じゃねーけ?」

「全然、平気ですよ!俺そーゆーの慣れてますから遠慮しないで下さい。」




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