物語

□【あいしてる】
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 このお話は悟空とチチが結婚して3ヶ月余り経った頃のお話である。



朝食を済ませリビングのソファーで寛いでいる悟空の隣に後片付けを終えたチチがお茶を片手に腰を下ろした。

「はい。悟空さ、お茶が入っただよ。」
「サンキュー、チチ。」

煎れたての温かいお茶をチチから手渡されると、悟空は啜りながら口に含んだ。

「なぁ悟空さ…」
「ん?」
「キスしてくんろ?」

突然のチチの言葉に悟空はお茶を吹き出し咽せかえってしまった。

「Σご、悟空さ、大丈夫け?」

チチは慌て近くにあったハンカチで悟空の口元を拭こうとしたが、悟空はチチを遮る様に自分の腕で口元を拭った。

「でぇ丈夫だ、チチ。」

悟空は冷静さを保とうと、残っていたお茶を一気に飲み干した。
平静を取り戻した悟空を確認するとチチは更に続けた。

「…悟空さ、キスしてくんろ?」
「/////なっ、な、な何で?」

チチの真剣な眼差しが次第に悟空に近づくにつれ、悟空は赤面と化した。

「この頃、おら達キスしてねぇべ?」
「だからって…今じゃなくても…」
「悟空さは、おらの事、好きじゃねぇだか?」
「///な、何で、そっちにいくんだ?」
「だって…好きな人とはキスしたいもんだべ?」

どぎまぎしている悟空にチチはジリジリと近か寄る。

「/////チ、チチ…おめぇ近けぇぞ!」

悟空はチチを押し返えすとソファーから慌てて飛び降りた。

「オラ、修行に行ってくんな!」
「Σ悟空さ待つだ!まだ話が途中だべ!」
「悪りぃ…後でな!」

忽ち悟空は逃げる様に外に飛び出して行ってしまった。
リビングに残されたチチはソファーに座り直し深い溜め息をついた。

(はぁ…
おら悟空さがサッパリ分かんねぇだ…
暮らし始めて最初の頃は、おらと一緒のベッドで寝てたのに最近じゃ別々に寝てるだ。
この前、都でデートした時は(小説【理由】より。)色々あったけんど、悟空さも おらと同じ気持ちだって確認できただ。あれから悟空さからも くっついてくれる様になっただし、キスだってしてくれる様になって……おら、毎日が楽しくて嬉しくて、これが新婚生活だべなぁ〜って実感してただべ。

なのに…

最近じゃ、ちっともおらに構ってくれねぇだ。おらからくっついても、はぐらかされてちまうだよ。

それに…
キスだってしてくれねぇだ。

おら、悟空さに避けられてるみてぇだ…

まさか…悟空さ、おらの事が…嫌いになっちまったんじゃ……)


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