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□ゆく、来る、年
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ゴーン
ゴーン
ゴーン
テレビの中から聞こえてくる除夜の鐘の音。
時計の短針と長針が12に重なったと同時に
「明けまして、おめでとうございます。今年もどうぞ、よろしくお願いいたします」
コタツに入ったまま、おれとお父さんとお母さんはお互いの顔を見合わせ、神妙に頭を下げ合った。
ゆく、来る、年
家族でコタツに入り、紅白歌合戦を見ながらのんびりして、年越しそばを食べる。
それが毎年31日のおれんちの習慣だ。
特に何をするでもない。ただただのんびりと過ごす時間を満喫する。
野球ばかりしている内に、2007年もあっという間に終わってしまった。
新しい年がやってきた。
そうだ。皆にメールを送ろう。
サーバーが混合っててすぐには届かないかも知れないけど、それでも送ってみよう。
野球部の一人一人に、2007年はどうもありがとうございましたって。
2008年もどうぞよろしくお願いしますって。
その時、自分のケータイがチカチカ光っていることに気付く。
ぼんやりしていて気付かなかった。
誰からだろう。
メール1件目は田島くん。題名は
「そろそろ明けます!おめでとう!」
送信時間はなんと2007/12/31の23:37。
明らかに確信犯のフライングだった。
文面は
「年明けてすぐはメール届きにくいから、まだ年明けてないけどちょっと早めに送っとくぜ。2007年は世話になったな〜(≧▽≦) 三橋と野球出来てすっげぇ楽しかった!今年もまたずーっと一緒に野球しような♪どうぞよろしく!」
そ、そっか。早めに送れば確実にすぐ届く な。
やっぱり田島くんはスゴイ、な!
2件目は沖くん。
送信時間は2008/1/1の00:01。
「明けましておめでとう(^-^)」
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。メール夜中に届いたりしたらごめんね!
去年はすごくお世話になりました。今年もまた一緒に野球頑張ろうね。俺も三橋に負けないように頑張るよ!」
う、お。スゴイ、沖くん。
メールがちゃんと時間通りに届いてる、よ!
おれも皆にメールを打とうとしたその時、
リリリリン
自分の電話が鳴り響いたことにビクゥッと飛び上がる。
着信はなんと
阿部隆也