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□君空
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並んで歩くのは幸せ。

いつでも見上げるよ。

俺が見上げる空は、君の笑顔の背景に広がっているといい。




君空





冬の夜の訪れはとても早い。
でも、寒いが空気がとても澄んでいるので、冬の夜は嫌いじゃない。
冬の星座は、なんだかくっきり見えるのもいい。

部活が終わった帰り道。
校門で待っている浜田の元へと急ぐ。

いた。

「はーまーだー!」

校門の所に設置されているライトの下で、夜の闇の中に金髪がぼんやり浮かび上がっている。

「待ったか?」

浜田の元へ急ぐ俺は、自然と駆足。
だって今日は。

「悪りぃ。待ったか?」
「いや、別に〜。さっきまで梅と梶といたし」

近くまでいき、その顔を見上げる。
15pの身長差。

「んじゃ帰ろうぜ」
「うぃ」

いつもは部活のヤツらと帰るのだが、1週間に1度ぐらい、たまに2人で帰るときがある。
部活のない日や、浜田が援団の練習をした後などだ。
でも今日は俺から誘った。

「今日さ、一緒に帰ろーぜ」

休み時間に浜田の机まで行って俺がそう言ったら、浜田は嬉しそうにニッコリ笑って

「うん!」

なんて子供みたいに元気よく返事した。

その笑顔を見るのさえも嬉しくて。
今日学校の帰りに自分がしようとしていることを考えるとうきうきして。
俺は放課後がくるのが待遠しくてたまらなかったんだ。

なんか俺、小さい子供みたいだな。

歩きながら休み時間の時のその遣り取りを思い出して少しぼうっとしてしまっていたらしい。

「…泉?泉、どした?」

気が付くと、浜田が至近距離で俺の顔を覗き込んでいた。

「うぁっ!」

驚いて思わず声をあげてしまい、目を逸らして慌てて浜田と距離をとる。

「な、なんでもねーよ!」

自分が今日という日をうきうきしながら待っていたなんて、コイツに知られるのはかなり恥ずかしい。
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