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□舞 My ワールド
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「じゃーん!これなーんだっ!」

今日の部活が終わり、部室で皆で着替えている最中。俺はむぐむぐとアンダーを脱ぎ終わった後、田島くんの嬉しそうな声に振り返る。
誇らし気な顔で田島くんが高々と掲げているモノ…それは、

大量の、花火。

「えぇ〜。時期はずれ〜。もう外結構さみぃぞ?」
泉くんが訝しげな声で反応を返す。
「へー。花火なんて久々に見た」
水谷くんが田島くん同様嬉しそうに言い、田島くんの側に寄っていく。
「お前、この時期になんでそんなん持ってんの?」
花井くんや栄口くん、西広くんや沖くんも、皆田島くんの側に寄っていき、色とりどりの花火を手に取って、口々に思い思いの疑問や感想を述べる。

う わ 花火 だっ。
俺も久々に見た。

慌ててシャツを羽織りながら、ワクワクする気持ちを隠し切れずに俺も皆の輪に駆け寄る。

「へっへーん。いいだろー。ウチのじいちゃんが夏に商店街のクジ引きで当ててそのまま直し込んでたヤツ、昨日家で見っけたんだぜー!」
田島くんはそう言いながら、俺にも花火を手渡してくれた。

「わわ、すごい、色々入ってる!コレ、赤とか青とか色変わるヤツ、だ!」
俺は花火の入った袋をギュッと握りしめ、興奮してまじまじと見つめた。

「ははっ。三橋の目ぇ超キラキラしてるぞ〜!三橋、もっちろん花火やるだろ?!」
田島くんはそう言って、花火から目を離せない俺の顔を横から覗き込む。
田島くんの目も期待と興奮でキラキラしている。
「お、俺、花火やり たい!!」
俺は思わず大声で答えた。

「そういや、俺この夏花火とか全くしてねぇなぁ」
泉くんがつぶやく。
「俺も俺も!」
「てゆうか皆そうだろ。俺ら誰も花火なんかする暇も余裕もなかったんじゃねーか?」
水谷くんが同意し、それに花井くんがぴっと人差し指を立てながら意見を述べる。
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