傷から芽生える

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僕は横から二人の会話を横から無言で見守っていた。
多分もう放っておいても良いように終わるだろう。
けれど、ここが仲直りしてもこの後の高倉さんの親に謝りに行く事には変わりないのだが…。


「ねぇ、一つだけいい?」
彼女の友達話を聞いて数十分。
彼女は喧嘩した相手とどのようにして友達になったのか事細かに語ってくれた。
「何であなたはそんな心構えでいられるの。
私ならいじめられたらやり返したくなるんだけど。」
彼女はそれを聞いて私の言いたいことを理解したような顔をした。
「結芽ちゃんも同じ事を聞いてきたよ。
どうしてかって言うのはね、お母さんに教えてもらったからだよ。
『いじめられたらその分だけの愛で返せ。そうやっているといつかは仲良くなれるから。』って。」
それを聞いても私は今一つ分からなかった。
「いじめてきたり喧嘩した相手を一度、愛してみようと思ってみて大丈夫そうならそれは友好的になれる証だって言ってた。
私もそれが正しいと思うし、あなたとは仲良くなれる気がする。
ただそう言うこと。」
彼女の言っていることは全く私にはない発想でよく分からないが彼女は私と友達になりたいって言っているのは分かった。
「所であなたはどうしてあんなことしたの?」
彼女は優しい表情のままそう聞いてきた。
いつもの私なら恥ずかしくて答えられないが、私は自然に理由が口からでた。
先輩と話をするときと同じような感覚で私は冷静に思っていたことを彼女に話せた。
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