一刀無双の『碧』

□完成傑作碧
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1 完成傑作碧

しっとりとした青にも見える銀色。
美しい弧を描き、柄から剣先にかけて細くなっていく刀身。
どっしりと。でも、刀(それ)の中では控えめの重み。
全長三分四(三尺四寸)、柄は細めだが列記とした両手様で、握ったときの長さは手に良く馴染む。
僕はそれの出来栄えに、感動した。
自画自賛と言ってしまうとかっこ悪いが、人生で一番の出来にじっとしてなどいられないのだ。
道具箱から、金属用のノミとカナヅチを取り出すと、台の上に刀(そいつ)を置き、名を打ち始める。
三日月鋭刃、空切丸、春風など、名前の候補はいくつか上がっていたが、僕は完成したそれを見て全く違う名前を思いついていた。
この刀(子)の刀身。太陽が水に反射され、青と銀の中間で揺れるように光っているそれを見て、僕はこう名付けた。

「碧(あおい)」

名付けてみるとなんだか、自分の子供の様にとても愛おしく感じられる。
今だと父さんの気持ち、部屋に飾られている刀「白菊」を大事にするのが分かる。
僕もこの「碧」を大切にしようと心に決めた。
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