傷から芽生える

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山神ユリ
気づけば中学校三年間一緒のクラスだったと思う。
しかし、まともに話したことがないのでただの暗い奴だと思っていたのだが…
「ああ、その事。
流石にされたときはショックだったけど陣太がその後一芝居打ってくれたから皆も忘れたことにしてくれてるから気にしてないよ。」
かなり前向きな性格の子だった。
おまえの顔も見たくないとかいわれて話になるかどうかも怪しいと思っていたのに、彼女は家に上げる所か、お茶とお菓子も出してきた。
私ならあんなことをされた日にはひっぱたいたりしても気が済まないのに彼女はでこピンされたくらいの感覚で話している。
彼女がどうして平然としていられるのか不思議であり怖かった。
「…ねぇ、どうしてあなたはあんな事をしたのに笑ってるの?」
彼女は怒らなさそうなので感に触るかなと思いながらも純粋な疑問としてそう問い、彼女はクラスでは見せない顔で笑って言う。
「どうしてだと思う?」
「…いや、全く見当がつかない。」
「私も上手くは説明できないんだけど、怒ってもあの事実が変わる訳じゃないからめんどくさいじゃん。」
まあ、言っていることも理屈も分かるが今回のスケールではそれが通用しない気がする。
「それにチャンスだって思ったんだ。
友達を作る。」
さて、いよいよ訳が分からなくなってきた。
さっきも同じような感じになったけど、これは私の頭が悪いから理解できないだけなのか?
「…どう言うこと?」
「私はあなたと友達になれるかなって。」
「それは分かるよ。
そうじゃなくてその友達になれる理由。」
「えっと、経験かな。」
「経験?」
「結芽ちゃんと友達になったのも喧嘩したときだから。」
結芽とは彼女の友人だった大平さんのことで間違えないだろう。
いつも仲良くしている二人が喧嘩した所なんか私は見たことない。
「どんなことで喧嘩したの…。」
「結芽ちゃんの恋のことかな。
その時私はその人の彼女だって思われてて。
その時は張り手されたかな。」
手が出たという事はかなりもめたのだろう。
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